当社は『自分の考えを形に出来る会社』を理念にかかげ、1984年上田市古安曽に石合精密として創業いたしました。
リーマンショックを経験しその翌年の2010年に組織を法人化し石合精密株式会社を設立しました。創業以来産業用精密機械部品製造業として、旋盤を始めMC、研削盤などにより、各種部品を製造しています。
また自社商品、長さ測定ジグ(ポイントレングス)(特許出願済)を開発し製造・販売を行なっています。
当社は、各種材料の調達から、焼き入れ後の高硬度金属等の加工技術を得意としています。
樹脂材料や鋼材、合金工具鋼やハイス等、また、グラファイト(粉じん等処理システム等の完備必須)、鋳物(6Fのみ)などの素材調達及び加工事業者への材料提供も致します。また自社においては耐熱樹脂による半導体試験装置、及びジグの製造組立も行っています。
焼き入れ後の仕上げ加工では、特殊鋼の熱処理品(HRC硬度60)をミクロン単位に仕上げることにより、樹脂を粒状に切断する粒断刃などを製作しています。
--長さ測定ジグ「a point length](ポイントレングス)〈写真右〉--
簡単操作で精度向上、作業者の負担軽減と作業の効率化を実現します。
旋盤作業において「生爪」を使用する事が多く有ります。その際、大きな問題として、加工物に合わせて「生爪」三方チャックの内径を加工成形する時に、対角上に直接測定ポイントが無いため、正確な径測定が出来ないという事が発生します。従来は、熟練技術者の勘により、現物合わせで作業を行っていました。本製品を使用することで、経験の浅い作業者でも、簡単かつ正確に測定できますので、作業者の負担軽減と作業の効率化が実現出来ます。
〈写真中〉(本製品は特許出願済みです)
同社は、自社の加工工程の測定効率化を図り簡易測定治具を製作しました。そして、創業30年を契機にこれを自社製品として販売することを計画しました。
販売にあたり、特許権が必要と考え、商工会議所に相談したところ、同商工会議所にて開設される外部知財総合支援窓口を紹介され相談会への参加を申し込まれました。
登録弁理士の在席する相談窓口にて当該商品を持参し、特許出願により特許される可能性についての相談及び出願手続、方法等を教示願いたいと言うことでした。
先行技術文献調査等による新規性の判断等について説明し、その調査方法を説明しました。更に、現状より技術的付加価値を高めることとその事例を参考提案して1回目の助言としました。
基本技術を秘匿して商社の工具担当者等に意見聴取したところ、評判が高かったので、展示会出展を決めました。この段階で公開前に特許出願することを勧め、弁理士に委任することを決意され、出願を済ませました。展示会の反応から、更に改良を進め、国内優先権を主張した出願が完了しています。
更なる開発意欲に応え、特許情報プラットフォームによる検索精度の向上等助言を行いました。
商工会議所の新商品に選択され、プレス発表等に参加し、県内外の商品展示会等に積極的に参加され、顧客の要求・反応を自ら収集しています。
特許出願経験から、他者技術への興味、自社技術を知財観点から観察するなど新たな技術開発に向けた思考、努力が行われるようになったと考えます。その結果として、まもなく新たな発明が生まれようとしています。
当社の商品を他者に乱用されたくないとの思いから弁理士にお願いし、特許出願をしました。
次に準備している商品についても、知財総合支援窓口の支援担当者と相談し、弁理士の先生のお考えを頂き、知的財産を守る為に、今後も指導を仰ぎたいと考えています。一人で悩まず積極的に知財総合支援窓口に相談されることをお勧めします。
同社は、国宝寺社が点在する信州の鎌倉と呼ばれる地域の東玄関口に位置しています。風光明媚な盆地に根を下ろし加工一筋に32年、知財権に手が届くまでに成長しました。後継者への事業の承継も今後の課題としてあがってくると思います。本製品が商品に成長し、知財で地固め・スムーズな同社固有技術の継承が成されることを望むものです。 (池田 武美)
測定工具「ポイントレングス」の特許出願(290.3 KB)
掲載年月日:2016年2月29日