当社は、治工具・ゲージ製作の企業として昭和32年8月創業し、以後、航空・宇宙機器用、医療用、半導体用等の部品及び治工具、試験機、試験片等を、機械、化学、車両製造、電機等の企業や工業試験所に納入して来ました。昭和60年に自社製品を目指し、道路標識を修理する装置の開発を開始、昭和62年:「標識起こし機」実用新案登録出願(実登2000176)、平成6年:特許登録「切断標識保持具」(特許2114991)を受けました。その後も道路標識の修理装置等の開発を続け現在に至っています。(特許出願3件、特許権3件、実用新案登録3件、意匠権4件、商標権1件)(個人名での出願も含む)
精密器具や部品の開発設計、加工を主たる事業としてきました。特に難加工性の精密部品については、多様なご要望にお応えできたと自負しています。道路標識の補修に関する技術開発・製品化は自社製品の新たな事業展開分野として始めたもので、それまでに貯えた技術、経験、特に金属の加工に対する技術を生かせる分野と考えており、今後も福祉社会に貢献できる企業を目標にしています。
道路標識は比較的簡単に折れたり、曲がったりするため、損傷した標識がしばしば見られ、修復には、時には数ケ月を要します。当社の「道路標識補修システム」は、現場ですぐに標識の機能を回復できます。
① 根元から倒れた(曲がった)標識柱は、バッテリー式油圧ポンプを備えた「道路標識起こし機(KG100型)が最適であり、5分程度で倒れた標識を強力に復帰させることができる。
② 曲がった標識板の補修は、標識補修機(KG2000型)により、てこの原理で簡単、迅速に直すことができる。(写真なし)
③ 根元で折れた標識柱は、折損標識保持具(KG3000型)を地面に打ち込み、そこに折れた標識注を差し込んでネジ止めする。
同社は、以前より知財への高い関心をお持ちであり、多くの知財出願をされてきましたが、いくつかの知財は、権利期間の満了時期が近づいたとのことで、引き続き優位性を保持するための新技術の開発、知財の確立についての相談にこられました。
同社は当初、「IT技術と交通標識の融合」等いくつかの案をお持ちでした。まず、手始めにパテントマップについて説明し、候補となる技術を抽出し、さらにどのような技術開発をめざすべきかについて、アドバイスを差し上げました。
その後は、個別案件、知財戦略、技術開発等につき、弁理士、弁護士、企業の知財担当者OB、機械工学の専門家と、種々の専門家により同社を支援をさせていただきました。
同社は、当初より、知財につき極めて高いレベルの企業でおられます。そのため我々の支援は、セカンドオピニオンと考えていただければと思っておりますが、広くアドバイスを参考にしていただいております。今後、新規分野の進出も計画されており、より積極的に活用していただけるものと思っております。
アイデアが浮かんだら、まず相談に伺うことをお勧めします。自分の考えた案件に親切丁寧に対応していただけます。まず内容を紙に書いてください(うまくない絵でも大丈夫です)。アイデアやヒントは、日常どこでもあります。情報を収集し、よく観察して何故かと問うことで道は必ず開けます。失敗を恐れず、頑張りましょう。
知財を有効活用されている稀有な企業です。適切な開発テーマの選定、活発な開発活動、知財への積極的な姿勢、粘り強いビジネス活動をされた結果、独占的な地位を獲得されました。確実な需要が期待できる分野であるが、企業での開発がされていない分野(知財的空白)を見つけられました。そのような分野への進出には、多大の努力が必要ですが、成功されつつあります。素晴らしい事例としてヒントにしていただければと思います。 (加根魯 和宏)
道路・交通標識修理装置(334.3 KB)
掲載年月日:2016年3月16日