当社は、平成15年に丸共水産(株)のサプリメント事業部を分社化して設立されました。北海道の海洋資源を原料に、自社工場でサプリメントを一貫製造し、栄養補助食品、業務用機能性原料として販売を行っています。また、産学官連携による研究開発にも積極的に取り組んでおり、知的財産権の取得、新商品開発、製品の品質向上につなげています。中でも、「一押し商品」で紹介する「高吸収性ナノ型コンドロイチン」は、共同研究成果の一つで、今後の主力商品として大いに期待されています。当社は、「美しく健康でありたい」との願いをサポートする製品づくりを経営理念に、これからも研究を続け、皆様の健康維持に役立つ商品開発を目指しています。
当社最大の強みは、原材料の調達から製造・梱包まで全ての行程を自社で行っており、医薬品メーカー並みの一貫体制を構築できていることです。原料は、冷凍倉庫を抱える隣接の丸共水産(株)ルートにより調達、素性が明確なうえ、通年での原料確保、迅速な商品化が可能になっています。また、研究開発に必要な試験装置、高度な評価・分析機器を配備し、社長の豊富な知識と経験に加え、研究機関との人的ネットワーク、共同研究によるエビデンス(効果の裏付け)を有しています。さらに、各種高性能な製造装置・分析機器を有し、通常の製品から原料受入れの受注商品(試作品)にも対応できるフレキシブルな生産体制に加え、平成29年6月には年間1トン規模の生産拠点・札幌ファインケミカル研究所を開設しています。
当社商品「ナノ型コンドロイチン」(登録商標第5623636号)は、北海道産軟骨魚類(カスベ)から抽出した海洋性コンドロイチン硫酸を、マイクロ化学プロセス製法を用いてナノサイズに低分子化した「コンドロイチン硫酸オリゴ糖」(特許第6146733号)に、新開発のコラーゲンオリゴペプチドとビタミンB群を配合した健康食品です。従来難点とされていたコンドロイチンの低吸収性を根本から解決し、従来比250倍以上の驚異的な高吸収性を実現しました。主成分である「コンドロイチン硫酸オリゴ糖」は、北海道新技術・新製品開発食品部門の大賞を受賞し、平成30年に北海道食品機能性表示制度・ヘルシーDoの認定を受けています。
同社は「ナノ型コンドロイチン」に係る国内特許出願を既に済ませていましたが、共同研究相手の大学の先生から欧米にも特許出願するよう要請を受けていました。同じころ、同社は「ナノ型コンドロイチン」の北海道新技術・新製品開発食品部門大賞受賞を機に、表彰式が行われる北海道技術・ビジネス交流会にこの商品を出展したところ、この交流会に毎年開設している知財総合支援窓口を見つけ、国際特許出願に係る情報収集のため相談に来られました。
上記交流会の窓口では、PCT国際出願制度について説明するとともに、本案件は優先日から1年以上経過した特許で優先期間を過ぎているため、国際出願できない旨を理解していただきました。今回の交流会での相談、並びに後日、知財総合支援窓口の事業周知を目的に同社を訪問した際のヒアリングの中で、知財管理や知財経営が十分行われていないことが明らかになり、これら課題解決のため弁理士、中小企業診断士等を活用した集中支援を行うことになりました。
上記集中支援では、計4回の会議を実施し、札幌の窓口で行った1回目の全体会議では、支援メンバー間の情報共有を兼ね、同社の経営や知財に係る現状と課題について検討し、支援テーマを「知財経営に係る課題の抽出とその解決に向けた提案」とすることが決まりました。残る稚内本社での3回の会議では、知財経営に詳しい中小企業診断士、窓口担当者と社長との面談が行われ、最終的に独立行政法人中小企業基盤整備機構が策定した「事業価値を高める経営レポート」としてまとめることができました。
今回の「事業価値を高める経営レポート」の作成支援を通じ、知的資産に係る同社の「強み」と「弱み」を認識いただくとともに、知財経営に係る課題解決に向けた3つの具体的な重点戦略(組織体制強化、ブランド戦略、販路開拓)の重要性を理解いただきました。その効果は、同社のファミリーブランド(MBF)を意識した「超吸収性ナノ型コンドロイチン」のパッケージ変更、ホームページのリニューアル、新工場の建設計画等からも伺い知ることができます。
今回、知財総合支援窓口の支援を受けたことで、当社の知的資産を把握することの重要性やそれを経営に活かすことで業績向上の効果が得られるということを実感しました。特に新規事業を計画する場合には、できるだけ早い段階で事業戦略を様々な方面から検討する必要がありますので、そのツールとして知財総合支援窓口を活用されることをお勧めします。
今回の専門家を活用した集中支援は、北海道知財総合支援窓口の単独事業として企画した初めての事案であり、また「事業価値を高める経営レポート」の作成支援についても最初の試みであります。これを窓口支援事例として紹介できるのは、共に支援していただいた中小企業診断士の力量に負うところが大きかったものと感じております。 (富田 和彦)
知的資産活用支援 (709.8 KB)
掲載年月日:2016年4月 7日
更新年月日:2023年8月10日