当社は昭和7年6月に大阪市港区で創業しました。創業から40年経った
昭和45年、阪神高速道路の建設予定地(国土路線新設計画)に工場が該当した為、昭和47年、岡山県総社市に新工場を建設し現在に至ります。
主要製品は自動車用動力伝達部品(メインシャフト、インプットシャフト、アウトプットシャフト、カウンターギアシャフトなど)や足廻り部品(ケーシングハブ、ナックルなど)です。自動車部品以外に産業機械、農機具、工具などの鍛造品も手掛けております。
創業より80有余年の知識と経験で培われた精度の高い予備成形を駆使し型打ちを行なう工法は高い歩留まりを達成しております。大量生産、大量消費していた時代とは打って変わり鋼材価格が日々変動していく中、「少ない鋼材で部品を造る技術」としてお客様より高い評価を頂いており、近年では非鉄金属の鍛造や加工熱処理(材質制御)技術などの開発に力を入れて取り組んでおります。
スマート鍛造プロセス
スマート鍛造プロセスとは、制御鍛造と制御冷却を組合せ、適切なフェライト+パーライト組織に変態させることで、鍛錬成形に加えて材質(被削性、浸炭性)も付与する、新しい加工熱処理技術(TMCP:Thermo- Mechanical Control Process)です。鍛造加工で細粒γを確保した後、独自の部分冷却技術で鍛造品を均一に冷却し、さらに連続熱処理炉で熱処理を施すことで狙い通りの材質に制御するこの新技術は、現行の通常鍛造-焼準プロセスよりも、リードタイム、CO2削減による省エネルギー、などの点で優位性があります。
平成23年度戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)で開発したスマート鍛造プロセスをどのような形で(社内ノウハウとするか、権利化するか)残すのが良いか判断できずご相談させて頂きました。窓口に相談することにより社内の知財がいかに重要なものであるかを知るきっかけになりました。
スマート鍛造プロセスは既に先行技術が特許化されていたためスマート鍛造プロセスの特許性をどの様に掲示すればよいかをご相談させて頂きました。
スマート鍛造プロセスを「もの」(ラインを構成する設備)と「プロセス」(工程)に分けて、それぞれで特許を取得する方法をご指導頂き、先行技術とスマート鍛造プロセスの違いを明確にしつつ、権利化の範囲を拡げることができました。
特許技術を持つことでスマート鍛造プロセスの開発に携わった人たちの自信に繋がりました。また、権利化することでライセンス供与という新たな事業の道筋を見つけることができました。
ものづくり企業は開発した技術を特許化するか、社内ノウハウとするか判断しづらい案件を多く抱えておられることと思います。窓口ご担当者様は特許申請方法だけでなく、技術的な相談にも親身になって聞いてくださるので、是非、一度最寄の窓口にご相談されてみてはと思います。
サポイン事業として開発した独自の加工熱処理技術をどのような形で残していけば良いかとの依頼を受け、数回に亘り専門家を含め議論を重ねました。取引企業や業界誌との関係もあり基本的な部分は特許として権利化することが望ましく出願に踏み切りました。部品を製造販売する中小企業でも知財の重要性に気づき経営に繋がった事例です。 (林 邦彦)
ものづくり基盤技術としての知財活用支援(175.1 KB)
掲載年月日:2016年6月22日