当社は化学、食品、医薬品プラントなどの工場設備において設計から施工、設置まで全工程の設備支援を行っています。また産業用ロボットの設計製作の請負や工事の設計施工などを通じ、地域の環境活動や地球温暖化問題にも取り組んでいます。当社の経営方針は「モノづくりのさまざまな支援を通じてお客様とより良きパートナーシップを築き 共に成長する」、「夢がかなう 安全 快適な職場づくりを目指します」の2点です。人材派遣事業を完全分社化すると共に特許取得をした「自動縮尺デジタルスケール」の販売を開始し、集塵機、掘削機の開発にも力を入れています。
当社は積極的に技術開発を進めています。国のものづくり補助金を活用し大阪府立大学と共同で特許を取得した
「チタンライニング技術」を確立しました。化学プラントのみならず遠心分離機などの装置、航空・宇宙などの
純チタンが使用される分野で受注のある技術です。研究に一定の成果を達成した現在は自動化された工程開発に
取り組んでいます。危険薬品を取り扱う化学プラントで確立した設備の知識と技術は大きな強みであり、
これに自社製品を加えて企業体質を強固にしています。
当社は設備支援の現場のニーズを捉え、おおさか地域創造ファンドの助成金を受けた自社開発製品の自動縮尺デジタルスケール「Speed Scale」の販売を開始しました。図面に尺度が記載されていない、
コピーの拡大・縮小の繰り返しの為に実際の尺度がわからなくなっているといった場合、従来は図面に定規をあて計算機で寸法を算出しなくてはならず、時間と労力が必要でした。「Speed Scale」は縮尺を把握できる図面上の1点の数値を入力すれば、あとは計測するだけで実寸の数値を得ることができる電子定規です。客先や現場での打合せなど、早急に正確な寸法を提示する必要があるときに積算・設計業務の効率化を推進する優れものです。
同社はものづくり・商業・サービス新展開支援補助金(ものづくり補助金)を活用して、大阪府立大学と共同で独自の「チタンライニング技術」に取り組み、チタンライニングによる高寿命攪拌機の新製品開発に挑戦中でした。しかし、今までに特許の権利化経験がなかったことから、企業としての知財戦略の考え方について相談に来られました。
特許出願についての問い合わせを受け、堺市産業振興センターの担当コーディネーターと知財総合支援窓口から派遣した知財専門家が同社を訪問して、チタンを用いたライニングのバックシールド技術についての特許出願の可能性を検討しました。引き続き、知財専門家の派遣によりチタンを用いた攪拌機の溶接技術の実証実験と先行技術調査、アイデア検討を繰り返し、特許出願の支援を実施しました。
同社は並行して「自動縮尺デジタルスケール」の開発をしていました。これは実際の現場で縮尺がわからない図面から原寸を導き出す画期的な
スケールです。特許分野の知財専門家を派遣し、特許出願の支援を実施しました。続けて日本での販売開始、海外への輸出を睨んで商標分野の
知財専門家派遣により「一発!早出しクン」の商標出願、グローバル戦略について支援を継続しました。
同社は従来の業務と並行して大学と連携して独自技術を積極的に開発するなど、常に先を見据えた研究課題を社内で検討されています。
知的財産への重要性を実感されてからはアイデア段階から知的財産に関する相談をいただけるため、早期対応が可能になりました。
知財総合支援窓口では、アイデア段階から事業化、さらに海外展開まで、製品化を視野に、特許、商標といった知的財産面の支援をワンストップで得ることができます。また、知財専門家派遣により、中小企業支援センター、大阪府の研究所など関連機関と一緒になって企業の現場で、積極的に支援して頂けます。
同社は、現場対応力の高い人材を育てるため、多くのチャンスを与えられる現場に若手を連れていき、顧客が 安心して任せられる体制を整え、現場対応力の高い人材を育て、独自技術・製品を、大学、地域の企業と連携して開発されています。
若い技能者が育ち、新しい事業が発展できるように知財と経営の両面から支援を続けていきます。
(大野 健造)
自動縮尺デジタルスケールの事業化・知財出願戦略(577.7 KB)
掲載年月日:2016年9月12日
更新年月日:2019年7月22日