当社は宝暦6年(1756年)に創業、明治10年(1877年)に現在の食品業に転じて以来、豆腐や揚げ物の大豆加工品、そしてこんにゃく等のいわゆる水物日配品を取り扱う老舗として商売を営んで参りました。
昭和63年(1988年)に長井北工業団地に工場を移転、常にお客様の嗜好に沿った商品を開発し、県内や全国規模のスーパー、コンビニエンスストアを中心に、百貨店や生協そして業務系と多岐にわたって取引をいただいております。
山形を代表する食べ物の一つである玉こんにゃくは、「玉こん」の愛称で広く親しまれるようになりましたが、実はこの「玉こん」、当社の登録商標(登録番号第762418号)であります。
よって、当社は、「玉こん」の商標で販売できる唯一無二の企業です。
この優位性によって全国に販売網が広がり、「玉こん」は当社の大きな柱となりました。
今後、付加価値商品には「玉こんプレミアム」(登録番号第5642873号)を、また催事販売等では
「玉こん屋さん」(登録番号5860499号)の商標を利用してさらなる飛躍を目指して参ります。
山形では古くから、鍋で玉こんにゃくを煮込む際には風味付けとしてするめいかを入れておりました。
この本場の味を手軽に味わってもらえるようにと開発したのが、「いか入り味付玉こん」です。
アルミパウチなので、湯煎か容器に移してレンジアップするだけで、いかそのものと味のしみ込んだ
「玉こん」を美味しくいただけます。
するめいかは、水揚げ量日本一を誇る八戸産の身の部分だけをぜいたくに使用しました。
商標「玉こん」が雑誌や新聞などいろいろな場面で無断使用され、他社の同じ商品にも使われておりました。
同社は、このままでは、商標権の意義が失われ、一般名称化するおそれもでてきたと危機感を持たれました。
同社内での商標権の適切な管理をしたいが、方法などが分からないというご相談がきっかけでありました。
平成23年10月26日に、取締役からの相談がありました。
「玉こん」の商標権をもっているが、複数の同業他社数社が無断で使用し、平野屋で販売している「玉こん」と出所混同を生じさせて
損害が発生している。
さらに、雑誌や新聞などでも「玉こん」を常用し、山形特産などを謳っている。
商標権を保持しているが、同社内における適正な使用方法・管理方法が分からないなどの悩みや課題への支援を依頼されました。
同社の登録商標を侵害する可能性がある同業他社の商品に対して、同社保有の登録商標の効果範囲と類否判断などや多くの同業他社に対しての、
適切なアプローチ方法をアドバイスするとともに、雑誌や新聞などの編集者への対応について助言しました。
さらに、新たな商品に関して、商標出願で権利保護することをアドバイスし、知財経営や知財人材育成に気付きを与えることができました。
同社では、商標の出願申請や権利の適正管理等の専門的アドバイスにより、知財管理の重要性に気付き、野放しとなっていた知財管理を適切に管理するようになりました。
また、知財の切り口で経営のハンドリングを検討されるようになり、その切り口での相談が多くなりました。
商標権を取得しただけで、適正な管理が出来ていなければ、一般名称のように使われ、権利の効力を失ってしまう場合があります。
自社で出願申請するだけでなく、自社で権利管理を考えている企業には、知財総合支援窓口の積極的な活用をお勧めいたします。
知財の話はさっぱり分からないし、分かる人材も居ないなど、中小企業の泣き所をサポートするのが当窓口の役割です。
知財の管理や活用に関するお悩みがあれば、積極的にご相談ください。
(髙橋 正知)
商標の適正管理(152.3 KB)
掲載年月日:2016年9月 7日