当社は、東京都府中市にプラスチック金型の製造販売を目的として創業し、平成11年に山梨県富士河口湖町に移転して、金型設計製作、エンジニアリングプラスチック成形加工を行っています。
エンジニアリングプラスチック関連製品の製造業として企業の営みが地球環境と密着な関係を持っていることを強く認識しています。
また、経営理念として、「誠実に行動する」「常に向上する」「社会に貢献する」を掲げ、社員ひとりひとりが、積極的に取り組み、継続的に改善し、企業の社会的責任を果たすことを目的としています。
金型設計とエンジニアリングプラスチック成形加工を連携させ、精密プラスチック成形品を一貫して開発、生産できる体制となっています。
また、当社は、平成21年に医療機器製造業許可証(許可の区分 医療機器一般)を取得し、平成26年に医療機器製造販売業(許可の区分 第三種)の許可を得ており、厚生労働省承認メディカル血液検査キット製造工場となっています。
さらに、製品検査室の出入り口には、エアーシャワーを設け、作業環境、衛生面で最新の管理を行っています。
ランセット、サンプラー(採血具)、保存容器などがセットになっており、サンプラー(採血具)は、通気路を備える本体部に着脱可能に接続された毛細管チップ(吸引部)を備え、毛細管チップを取り換えることにより、5μ?~100μ?の範囲で、採血量を変更できると共に定量の生血を容易に採取可能となっています。
従来の採血具は、吸収体を利用して採血を行っているので血液を吸収体に吸収させる場合、吸収された血液量を高い精度で把握することが困難で血液採取量にばらつきがあると、検査結果にもばらつきがでます。
しかし、この製品は微量な血液を高い精度で定量採取することができます。
採血具の開発の初期時点で、商工会を介して、知財取得について知財総合支援窓口を紹介され、その後製品開発が進み、具体的な特許取得について支援の依頼を受けました。
採血具の特許権取得に関し、「本件の特徴的構成がどのようなものか」「新規性・進歩性をどのように主張できるのか」についてヒアリングすると共に「特許制度概要(登録要件など)」「類似先願調査の必要性」「先願調査方法など」について説明しました。その後、専門家派遣を活用して、有効特許の取得のための総合的な支援を開始しました。
最初の採血具に関する基本的な構成についての特許出願を完了した後、それを契機に、知財総合支援窓口を積極的に利用されようになり、採血具に関連する保存収納容器など継続する関連開発案件に対し、引き続き、専門家派遣を活用して権利取得のための支援を行っています。
結果として、採血具について基本特許出願を中心とした特許網を構築されつつあり、また、基本特許出願について、外国に対してもPCT出願を行っており、各国移行時の外国出願助成制度の活用についても指導助言を行いました。更に、採血具のネーミングについて、商標権取得のため指導助言を行っています。
本格的な事業展開は、これからという事になりますが、一部の企業などで当社の製品を採用していただけることになりました。一連の継続した知財取得活動により、知財の重要性をより一層理解しました。今後の事業展開において、取得した特許権を有効に活用したいと考えます。
小規模な研究開発型企業が、長年に渡り、試作開発を行い、事業を進めていく際、その成果としての特許権などの知財取得を効率的に行うよう、知財総合支援窓口を上手に利用されていくことも有効な手立てかと考えます。
長年にわたる試作開発の段階から、販売開始に向けた準備段階に入っており、「MEDTEC Japan 2016」にも出展され、2016年秋ごろから、沖縄の医療機関や、神戸の企業でも使用予定とのことであり、取得された特許権を有効に活用して、販売展開を行っていただければと思います。 (望月 賢治)
採血具の特許網による知財保護(277.7 KB)
掲載年月日:2016年12月26日
更新年月日:2019年7月 4日