「その時点で世の中に存在しないものをつくる」をコンセプトに、ものづくりを行っております。岩塩やスパイス、茶葉、コーヒー豆等を挽くセラミック製刃を生産して組み込んだ手挽きミル(グラインダー)各種、セラミック製「おろし」や「しょうゆ差し」を製造しております。自社PORLEXブランド名で、「Made in Kagoshima, Japan」を訴求して、日本国のほか海外36か国で展開しております。
当社は、「特殊セラミック成形技術」と、「シリコーンを高度に密着する技術」の主に二つの技術を持っております。
①特殊なセラミック成形技術により、一般的な方法では成形することが難しい形状を具現化することができます。
②シリコーンを高精度に密着させる技術により、特種な密封容器の製品化やセラミック製「おろし」や「しょうゆ差し」の使いやすさを実現しております。
セラミック製刃をはじめ各製品は自社で開発しており、工場にある機械装置も全て自社で開発しております。
コーヒー豆を挽くために開発したセラミック製刃を組み込んだコーヒーミルで、一度にコーヒー豆を30グラム挽くことのできるコーヒーミル、20グラム用のコーヒーミルミニの2種類あります。模倣品が出回るなかで、より優れた、使いやすい製品にするために、セラミック製刃を中心に改良し続けています。高品質であること、そして実用的でシンプルなデザイン、コンパクトな設計のため持ち運ぶことができることも高く評価いただき、オーストラリア、ドイツ、アメリカ等海外でも人気の高い商品となっております。
ブランド化の一翼を担うために重要な役割を果たす商標出願及び、商品を技術的に保護する特許出願も一件もなく、無防備の状態で国内外に販売されていました。そこで、よろず支援拠点のコーディネーターと一緒に自社製品の模倣品対策に良策がないかと相談に見えたのが最初でした。
同社はカナダ、オーストラリア、中国やヨーロッパに顧客が多く売上比率も海外が高くなっています。一方、模倣品も多く出回っている事から、これを牽制するために先ず速やかに対処可能な商標出願について相談されました。市場が海外に渡っていますので国内外への出願を提案して、その最適化について専門家に相談されるよう勧めました。
専門家を交えて国内外への知名度向上に貢献できる標章を検討して屋号やロゴに関する商標6件を出願され既に国内商標は登録となっています。更に、かごしま産業支援センターが公募する中小企業等外国出願事業にも応募され関係国への出願も行われました。
商標出願のみでは、模倣品発生の牽制力は十分でないと判断され、全社一丸となって既存商品の改良・改善や新商品開発に取り組まれた結果、これまでに国内外へ特許4件を出願されています。
事業範囲が国内外に渡っているにも関わらず知的財産に関する意識は皆無と言って良いほどだったと思います。しかし、窓口を利用されるようになってから事業展開に知財を戦略的に取り組むことの重要性を認識されたと言えます。また、商標や特許を出願した後、海外の販売代理店から安心して販売できる、顧客の信頼を得られるので売りやすいと高い評価が得られています。また、特許出願に先立ってデーター収集や解析に工技センターを利用されましたので、技術的支援機関の活用法も会得されたと思えます。
かごしま産業支援センターのご紹介で、知財総合支援窓口を知ることが出来ました。既に海外で製品を販売していたなかで、いかに自社製品を中国製等模倣品から守ることができるか、ご相談いたしました。自社で開発した技術の特許の可能性について、現在もご相談をさせていただいております。毎回、私どもが理解するまで丁寧に時間をかけてご説明してくださいます。豊富な知識をお持ちの専門家のかたよりアドバイスをいただくことができます。
商品の保護手段を持たず海外への販売を進める中、模倣品が多く出始めてその対応策について相談され、専門家や技術的な支援機関を効果的に活用された結果、無防備な状態から社員一丸となり商標や特許の海外出願まで短期間に実現されました。海外の販売店もこれまで以上に積極的に顧客の獲得に努めてくれるものと思います。 (濵石 和人)
知財で模倣品を牽制(189.1 KB)
掲載年月日:2016年12月26日