当社は昭和60年の創業以来、主に民間及び公共工事の土木一般建設業を営んでおり、主として、土木工事、舗装工事、コンクリート構造物工事を手掛けています。現在は新工法「大型消波ブロック底型枠脱型工法」を開発し、全国にリースをメインとして事業を展開していく予定です。
大きいものでは80tにもなる消波ブロックの底型枠を外す際、大型クローラークレーンでブロックを吊り上げて脱型する従来の工法では、大型クレーンは数が限られているため、繁忙期に重なると手配が困難であると同時に、運搬費や賃貸料などのコストが高額になる問題がありました。
当社では受注した消波ブロック製作工事において、大型クレーンを使わずに済む方法はないものかと考え、「大型消波ブロック底型枠脱型工法」を開発し、作業の効率化とコスト削減を可能にしました。
「大型消波ブロック底型枠脱型工法」は油圧ジャッキで下から垂直にブロックを持ち上げ、底型枠を横に引き出す工法で、吊り上げて仮置きする従来の工法と比べて、転置作業の必要がないため安全性も高く、破損などの被害が少なくて済みます。
そして何より魅力的なのは、従来の工法に比べてコストを1/5に抑えることができる優れた経済性です。
八戸工業大学に装置の構造解析を依頼し安全性が実証されたのち、軽量化のための構造改善研究も共同で行い、改良点を討議し、80t型ブロック用の昇降機を開発しました。
同社は、窓口担当者が数年前に特許出願に関する相談を受け、特許制度と出願方法について助言をした他、技術協力のために八戸工業大学を紹介した企業です。その後、同社は開発を中断していましたが、開発の再開とともに改めて相談に来られました。
資金面での相談を受けました。同社は八戸工業大学との共同研究を予定しており、開発費については公益財団法人21あおもり産業総合支援センターの「あおもり元気企業チャレンジ助成事業」と同センターのコーディネーターを紹介し、共同で支援することにしました。
平成25年4月に同助成事業に採択され、八戸工業大学と共同研究を始め、2度の実証試験を経て新規性と進歩性が担保されたため、同年11月に八戸工業大学と共同で特許を出願し、平成28年12月に登録になりました。
また、平成26年12月に国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)にも登録しました。
同社は、八戸工業大学と共同研究をすることで、技術面や安全性に関する課題が解決された他に、施工性についても改善されるなど共同研究の効果があったと思います。
特許出願は技術面や安全性、施工性を加味したビジネスに直結する内容を出願することを理解してもらいました。
技術面で八戸工業大学、資金面では公益財団法人21あおもり産業総合支援センターの「あおもり元気企業チャレンジ助成事業」を紹介してもらい、連携して支援をしていただきました。
特許出願だけではなく、技術面やビジネス展開までサポートしてもらえる、知財総合支援窓口に相談するのが、技術開発の近道だと思います。
相談から9年の月日が流れ、その間に東日本大震災がありました。この工法は復興や津波対策に有効な技術なので、広く普及してもらいたいと思います。
全国展開について、青森県の知財活用支援コーディネーターと連携して、特許実施許諾契約の支援をして行きたいと思っております。
(田中 智)
大型消波ブロック底型枠脱型装置の開発・権利化(227.4 KB)
掲載年月日:2017年6月15日
更新年月日:2020年10月 2日