窓口支援事例
株式会社東栄マシナリー 
商標営業秘密・ノウハウ海外展開

企業の強みを活かしたクローズ戦略

企業情報

所在地
愛知県一宮市
ホームページ URL
http://www.toei-m.co.jp/
設立年
1986年
業 種
製造業
従業員数
8人
資本金
1,000万円

企業概要

 当社は自動車部品製造・供給における長年の経験・知識を活かし、自動車部品製造・供給において革新的技術である「曲げ加工機」を開発しました。通常、曲げ加工機は材料の両端を保持し、引っ張り力を掛けて曲げ加工をしていますが、新装置は断面が凹状のロールフォーミング材を使用し、その空洞部分に芯金を挿入することで形状を保持したまま型の形に沿って材料を曲げることができ、カーブの異なる複数の加工(R加工)を1工程で加工できるのが特徴です。
 国内の様々な自動車部品メーカー向けの曲げ加工や金型製作の実績を買われ、海外でも国内大手自動車部品メーカーを介して米国、韓国にも曲げ加工専用機を輸出しています。

自社の強み

 当社は金型との密着度を高める高精度の棒治具開発に加え、制御部品を油圧からサーボモーターにすることで加工品に皺が発生しない仕組みを開発しました。通常のR加工では材料の両端が変形するため産業廃棄処理していますが、専用機では変形しないことからスクラップが発生しません。
 曲げ加工としては、バンパー、ドアフレーム、モールディング用冷間曲げ加工、及び金型の設計、製造、試作があり、ステンレス、アルミ、鉄は勿論のこと、近年需要が高まりつつある高張力鋼板(ハイテン材)に対応する曲げ加工専用機の開発により工程の短縮、コスト削減、省力化、生産性の向上、環境への配慮、雇用創出など顧客の利益増大に寄与できると考えています。

一押し商品

 この度、韓国の自動車部品1次サプライヤーよりハイテン材による複数R混在の曲げ加工専用機INVOLUTE BENDER(登録商標第5802270号)1号機を韓国現地法人向に輸出しました。この専用機により製造されたバンパービームは、韓国大手自動車メーカー及び国内大手自動車メーカーに納入されることになっています。
 従来では機械加工と金型の複数工程が必要であった加工をINVOLUTE BENDER機1式で行うことが可能となり、あらゆる複雑形状の製品としても製造することができます。

知財総合支援窓口活用の概要(記:窓口担当者)

窓口活用のきっかけ

 同社は、米国、韓国など海外自動車部品メーカー向け専用機の輸出先の販路拡大に熱心で、ブランディングに大変興味を持たれており、商標出願について訪問支援させて頂いたことがきっかけになりました。また、同社は過去に国内大手自動車部品メーカーとの取引の過程で冒認特許出願されるという苦い経験があり、特許出願せずに技術の秘匿に徹したいとの思いを痛感していましたが、どのように進めるべきか、海外戦略の支援も必要としていました。

最初の相談概要

 同社がまず国内でブランディングを図るために、専門家(弁理士)と連携して商標登録出願を支援しました。また、同社の強みは曲げ加工の革新的技術と製品化するための金型図面を中心とするノウハウであり、米国現地法人からのメンテナンス面からの3次元図面データ要求に対して、INPIT海外知財PD、及び登録専門家を活用して契約面からの支援を行い、秘密保持契約原案作成にあたり契約内容の重要性を認識して頂きました。

その後の相談概要

 同社は国内大手自動車部品メーカー及び米国現地法人との大型取引により、同現地法人に納入するドアフレーム用ストレッチベンダー曲げ型(一次加工)、ガイダーベンダー曲げ型(二次加工)のメンテナンス面からの要求に対して、弁護士である海外契約書作成専門家と連携支援して、クローズ戦略として3次元図面データの他ノウハウ等の情報も対象に含め、目的外利用禁止、改良発明禁止、裁判管轄は名古屋地裁とする等の優位性を主張した和文・英文契約書を取りまとめ、関係企業との交渉を開始することになりました。

窓口を活用して変わったところ

 同社は国内外の大手企業と取引する機会も多くなってきており、自社の強みをアピールしながらノウハウに関する重要な情報は開示せず、秘密保持契約をしっかり取り決めることの重要性を認識され、知財に関する契約等に対して積極的に対処して来られています。
 また、昨今問題となっている技術の流失を未然に回避するために、社内の革新的技術、ノウハウの戦略的保護を図りつつ、営業秘密管理面においても社内体制を整備中です。


企業からのメッセージ

 当社は、他社にはない金型に関する独自技術・ノウハウを持っており、徹底したクローズ戦略を取っています。自社の強みを把握し、専用機等を販売しても金型技術等が他社に流出しないよう秘密保持契約などで守ることが重要です。この支援事例が、技術・ノウハウをいかに守れば良いか迷っておられる方の参考になれば幸いです。

窓口担当者から一言

 同社は経営者自ら技術開発に取り組み、製品開発に対する妥協を許さないものづくりの信念が現在の成果に至った結果だと思います。今後、益々海外展開する企業も多くなることから、しっかりしたノウハウ管理が必要となると考えます。取引企業との関係やノウハウ流出を懸念される企業の方は是非窓口を利用してください。 (井上 勝)

企業の強みを活かしたクローズ戦略(333.1 KB)

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掲載年月日:2017年7月31日

更新年月日:2022年9月 9日

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