当社は昭和23年(1948年)の創業以来、15,000種類以上の工業ミシン部品を主力製品とし、これに加えて、自動車内装品(シートやシートベルト等)、靴及び皮革製品等の厚い素材を縫製する特殊な工業ミシンの生産性を向上させる下糸自動交換装置、下糸検出装置及び目飛び検出装置を製品化してきました。
国内外での特許権等を取得し、欧州を中心に海外展開をしており、近年は、新たに航空機分野の部品加工にも参入しています。
平成27年度中小企業知財金融促進事業に基づき、知財ビジネス評価による融資を受け、平成28年3月 経済産業省特許庁「知的財産権活用企業事例集2016」に掲載され、平成28年5月「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定されました。
現場の情報と要望を知ることが重要であり、専門知識の上に感度を持ち合わせることで、オンリーワン、ファーストワン製品を生み出し、「発明の源は現場にあり」、「汗をかき、手を汚す」が発明、モノ造りの原点と考えて、技術開発、商品開発を行っていることが当社の強みと考えています。
・オートボビンチェンジャ-
自動的にボビンを交換するため、ボビン交換の手間を省き合理化、コストの低減、生産効率を高めます。また、省力効果だけではなく、縫製不良の防止、作業者の精神的な負担も軽減します。現在の交換のボビンストック数は8個で、約2時間30分の連続運転が可能で、この間ボビンを交換する作業は不要となりました。
・目飛び検出装置
目飛びを検出し、ミシンを瞬時に停止させます。
「発明の源は現場にあり」という新聞の当社紹介記事を見て発明意識の高さと、特許出願等も行われていることから技術等の保護意識も高いことを知り、「知財総合支援窓口」の活用により、更に知財活動の活性化に役立てられればと思い、「知財総合支援窓口」を紹介しました。
先ずは、産業財産権制度について基礎からもう一度知りたいということから、産業財産権の基礎説明、特に先行技術との関係、先行技術の調べ方の説明を行いました。工業製品・部品等が意匠による保護として馴染みにくいという課題があったため、部分意匠・関連意匠等を含めた意匠の説明を行いました。
同社保有の産業財産権の棚卸し、商標の更新についての説明、更新手続の必要性の助言などを行いました。特許事務所に出願手続等を依頼する際にも、特許事務所との意見交換、疑問点の確認等が出来る様に、産業財産権の基礎知識について機会のあるごとに説明しました。また、保有特許の改良技術に関しての保護の必要性等を、改良技術は他社も権利化が出来ることなどの説明を交えて説明しました。
また、「公益財団法人あいち産業振興機構」の「よろず支援拠点」、「マネージャーグループ」と連携を取ることにより、「知財」と「経営」の両輪による支援が出来ました。
産業財産権制度の基礎からの理解が更に深まり、製品技術の開発・保護の点的見方から面的見方が出来る様になりました。その結果、保有特許の改良技術の特許出願と、商標の自社出願を行うことが出来て、実務を通じて産業財産権制度に対する理解が更に深まり、支援当初に比べて知的財産に関する意識が格段に向上しました。
これまでに何件かの特許出願等をしましたが、産業財産権制度を充分に理解していなくて、発明の展開・応用等の検討が余り出来ないという状況でした。「知財総合支援窓口」の支援を受けてからは産業財産権についての基礎的理解が更に深まり、改良発明等も意識出来るようになりました。何でも気楽に相談でき、又一緒になって考えて頂けますので、知的財産に関しての困りごとは、先ずは何でも相談することをお勧めします。
同社はこれまで多くの特許等の出願を行っておりますが、更に革新的な技術開発とその保護を目指して非常に意欲的であり、産業財産権について非常に関心が深く、極めて前向きに取り組んで頂けました。それは「発明の源は現場にあり」、「汗をかき、手を汚す」という当社の発明・ものづくりに対する基本的取組みに根付いたものであり、今後もこの考えを継承すると共に、産業財産権制度の有効活用を期待したいと思います。 (平井 至)
発明等の保護からその管理までの総合支援(195.6 KB)
掲載年月日:2017年7月31日