平成11年に開業。婦人服やアクセサリー、オリジナル小物類を取り扱っている婦人服専門店です。20年ほど前から心に温め続けていた納棺用装束(ラストドレス、ラストタキシード、ラストキモノ)を独自に企画・開発し、納棺用の棺や肌着・ブーケ等も含めて受注販売しています。人生最期の衣装を準備することにより自身と向き合い、そこから安心して活き活きとした生活を送って頂くための製品づくりをコンセプトとしております。
ブランド力の向上に繋げるため「Last Dress」「Last Tuxed」「Last Kimono」の商標権を取得しています。また、当社の装束は、左右2つのパーツに分けて背中に沿って結合させる構成とすることで、死後硬直した遺体に対して、着付けが容易に行え、かつ、着付け後の着崩れが防止して見栄えの良い装束を実現しています(実用新案権取得済み)。さらに、タキシードの生産は、オリンピックユニホーム、JR七つ星の制服を手掛ける会社と皇室のシャツを手掛ける会社に委託しています。
「Last Dress」 :商標登録第5546103号 「装束」 :実用新案登録第3194134号
人生最期の門出を彩る納棺用装束は、長期の保管になることを考慮し、装束の変色やシワなどによる型崩れがないように厳選した生地や素材を使用し、一人ひとりのイメージに合わせたデザインで最高の一着に仕上げさせて頂いております。また、この装束は、ご家族の方が硬直している故人に真心を込めてゆっくり着せてあげられる工夫がなされています。昨年出展した「エンディング産業展」では、大手新聞の取材を受たり、テレビ局のインタビューや女性リポーターによるドレス着用の実演など予想以上の反響を得ることができました。
同社は、以前から窓口を活用しており、商標権4件と実用新案権1件を取得しています。今回は、昨年出展した「エンディング産業展」での反響を踏まえて新しく開発した遺体用ショールを知財で保護できないかと相談を受けました。
遺体用ショールは、技術的な要素が少ないことから、模倣対策として効果が期待できる意匠権の活用を提案し、制度、出願から登録までの手続き、費用、特許情報プラットフォームでの意匠公報の検索方法等について説明・助言しました。また、同社に対する支援計画として、所有する知的財産権の有効活用を図るため、製造の委託先企業との契約において、取得している商標権や実用新案権を活用すべきことを助言しました。
知財専門家(弁理士)と同社を訪問し、遺体用ショールの知財保護の可能性と契約における知財活用について説明・助言しました。また、意匠図面(画像)の作成方法については知財専門家(デザイナー)を派遣して支援し、意匠出願することができました。その後、契約交渉の最終段階では、配置専門家(弁護士)を活用し、製造委託契約と代理店契約について助言しました。
意匠権によるデザイン保護について理解を深めて頂いたと思います。また、産業財産権の種類と保護対象を効果的に活用することで、他の製品との差別化が図られ、オリジナル製品のブランド化に役立つことを理解して頂いたと思います。さらに、契約に関しても、保有する権利を明確に主張し、適切に活用することで、リスクの回避や収益の安定性に繋がることを理解して頂いたと思います。
知財総合支援窓口を利用して、窓口担当者の他、弁理士や弁護士、デザイナーや支援機関のコーディネーター等多くの方との出会いがありました。皆様から本当にいろいろなことをご指導頂き、大変有りがたいと思っております。
ラストドレスは、大切な2人の姉の死が、背中を押してくれて完成したと伺っています。一枚一枚丁寧に仕上げるラストドレスは、「最後も自分らしい装いで旅立ちたい」というニーズに応える本当にすばらしい製品です。世代交代を踏まえ、法人として新しくスタートされ、今後も新商品を開発させることと思います。ブランド化やライセンス契約など、引き続き支援させて頂きたいと思います。 (轟木 博)
事業拡大のための知的財産活用支援(471.6 KB)
掲載年月日:2017年8月21日
更新年月日:2022年9月14日