当社は1950年、中村羽毛研究所として創業し、バドミントンのシャトルコックを、世界で初めてプラスチックで製造しました。創業より培ったプラスチック成型技術を強みに、現在では、自動車部品や玩具、スポーツ用品の企画・開発、製造を手掛けており、事業の幅は多岐にわたります。プラスチック製品のパイオニアとして、様々な分野における事業への取り組み、独自の技術の開発、成形技術と製造ノウハウを積み重ね、常にモノづくりへの挑戦を続けています。
当社は、グラウンド・ゴルフをはじめ、フィットネスやノルディック・ウォーク用品など、健康スポーツ用品の企画・開発、製造、販売を手掛けています。特に、グラウンド・ゴルフ用品においては、市場シェア2位を誇っています。自社のプラスチック成型技術を活かした製品性能・品質を日々研究しています。企画・開発、製造、販売までを当社で一貫して行っているため、ユーザーの声を商品に反映出来ることが自社の強みです。
今回開発したグラウンド・ゴルフのコース用品「ホールポスト」(特許権取得済み)は、ゴルフで言うホールカップにあたるもので、プレーヤーがこの「ホールポスト」を自ら設置し、コースをつくることができるので、いつでも、どこでも楽しめる競技として日本中に広がりました。プレーヤーの増加とともに、練習や大会の参加者が増え、より多くの「ホールポスト」の設置が必要となりました。この「ホールポスト」は既存品と比較して、組み立て時間を60%削減し、設置の負担を軽減できる新商品として開発・商品化、特許権利化し販売開始しました。プレーヤーの皆様が競技自体を楽しめる環境づくりの一役を担えればと考えております。
以前から商標等の相談はありましたが、本格的な特許相談は、グラウンドゴルフボールの新製品に関する相談が最初でした。
特許権利化に向けて専門家(弁理士)を派遣し、開発担当者、同専門家及び窓口担当者の三者で特許出願のポイントや他社権利対策等のブレーンストーミングを重ねました。議論する中で様々なアイデアが出され、最初は困難と思われていた課題を解決することができ、同社の新製品開発の支援をさせていただくことができました。
その後、グラウンドゴルフボールの改良やクラブ等の新製品の特許相談をいただき、前回同様、開発担当者、派遣専門家及び窓口担当者の三者でブレーンストーミングを重ね、新製品開発の支援をさせていただくと共に、スポーツ用品や健康ビジネスの商標、ブランドについて派遣専門家から商標の基礎知識やブランドの考え方等をご指導いただき、さらに重点支援により新規事業である健康ビジネスのコアとなる自立体力テスト普及とそれを用いたビジネスモデル構築の支援により、同社ブランド構築の支援もさせていただいています。
同社は、以前から特許等の出願経験はありましたが、特許課のような部署はなく、担当者が特許、商標、意匠等の保護から活用まで、知財全般に関する課題を抱えていたものと思われます。知財総合支援窓口を知り、そういった課題を解決できることがわかり、積極的に活用していただいております。
窓口に相談し、経験豊かな担当の方にアドバイスをもらうことで、複数の知財案件について出願をすることができました。特に、出願内容を一緒になって検討していただいたことにより、社内のリソースだけでは得られない考え方やアイデアが生まれ、より価値の高い内容で出願ができ、知財に関する意識を高めることができたと実感しています。
発明者、特許事務所及び知財担当者の三者面談を経ての特許出願は大企業では一般的ですが、中小企業では中々困難です。そういったハンディを、知財総合支援窓口を活用していただくことで克服できる可能性があります。本件はその例といえます。知財総合支援窓口を「町の特許課」として活用していただき、ビジネスチャンスをつかんでください。 (近藤 達憲)
グラウンド・ゴルフクラブの特許相談(651.4 KB)
掲載年月日:2017年8月21日
更新年月日:2020年2月 7日