当社は、昭和35年に中川細幅織物として開業し、輸出用の織ネームを製造開始し、昭和48年のオイルショック後は輸出用織ネームから国内用織ネームに転換しました。
また、昭和50年にはジャカード機でヘアーバンドやリストバンドの製造を開始し、その後、コルセット、ホテル用浴衣帯、腰痛バンド、写真織、荷崩れ防止バンド、ハンガーカバー、非接触型記録媒体の保護材及びICカードケース、スキミング防止ICカード入れ等を開発販売し、現在に至っています。
当社の強みは、独自の発想と技術でさまざまなオリジナル繊維製品を次々と開発しているところにあります。例えば、遠赤外線の糸を使った腰痛防止用バンド「ほっとまきまき」(商標登録第4141132号)、特許権を取得した荷崩れ防止用緊締具(特許第3897992号、特許第3294199号)や電磁波遮蔽ICカードケース(特許第4378320号)があります。
当社では、こうした新製品の開発を進め、下請けスタイルを払拭するため、各種研修会や講習会に積極的に参加するとともに、新聞や業界紙などから日々新しい情報を収集して感性や発想の基を養い、新製品開発に活かしています。
資材運搬コストの抑制、資材配送ミスの軽減、個別識別による配置管理ができ、荷受け・仕分業務の効率化と荷崩れ防止効果を有する荷崩れ防止帯「パレキャッチ」(商標登録第5167288号)があります。
これは、特許第3897992号及び特許第3294199号製品であり、ICタグと併用することにより、読み取りゲートを通過時にそのパレット上の製品内容を読み取り識別する事ができます。これにより、搬入場所を指示したり、伝票管理したりする事ができ、仕入・配送ミスを低減することが可能となります。
炭素繊維を合成繊維でカバリングした糸の製織に関して、研究開発した技術アイデアが公知技術であるか否か調べたいと考えていましたが詳細な先行技術調査には不安があったこと、また、石川県発明協会の法人会員である事もあることもあって知財総合支援窓口の存在は既に知っていたことが窓口活用のきっかけとなりました。先行技術調査後に基礎試験を実施した結果、実用性の可能性が見えてきたので特許出願したいとの考えに至りました。
同社社長は開発技術を特許出願したいと考えており、最初の相談は、進歩性判断のため詳細な先行技術調査を行いたいとの事でした。これに対し、知財総合支援窓口では特許情報プラットフォームを使ったキーワード検索と、平成5年より前の文献を検索するにはFI、Fタームを使った検索を行う必要がある事を説明し、検索支援を行いました。
上記技術の開発に当たっては、中小企業等が自社のニーズにあった弁理士とのマッチングを実現するための「知財コンダクター支援(登録弁理士マッチング支援)」を利用し、弁理士の判断を踏まえ進歩性を主張できるとの事から、特許出願を行い、早期審査請求を行いました。特許庁から拒絶理由通知がありましたが、全ての請求項に対して拒絶理由がある訳ではないので、分割出願し、拒絶理由の無い請求項を先に権利取得する事としました。
知財コンダクター支援(登録弁理士マッチング)制度がある事など、知財総合支援窓口には幅広い支援内容があることを認知されました。同社では、取得した特許権の他社へのライセンスを検討するなど、知的財産を経営に有効に活用し、収益の増加を図る知財経営の重要性を再確認しておられます。
知財総合支援窓口では、産業財産権の概略の説明、制度の説明から先行技術調査方法の説明、出願方法の説明、年金納付方法の説明等を受けることができます。また、権利取得後にも他機関と連携して新事業の創出等、広範囲な支援を行ってもらます。
知財総合支援窓口では知的財産権に関する相談を受け付けていますので、気軽にご相談下さい。本件では、特許出願から特許権の取得まで支援しました。今後この技術を使った新事業を創出する必要があります。関係機関と連携し、支援を行いたいと思います。 (島田 隆)
中川産業株式会社知財総合支援窓口支援事例(181.4 KB)
掲載年月日:2017年8月22日