当社は、紙器抜型丸刃及び医療用穿刺針製造、レーザカッティングなどを行っております。当社の丸刃は、紙、携帯電話の穴、LEDの台座、パッキン、皮、シール等の用途に応じて使用されております。
経営理念には、「丸刃業界で1位であり続け、従業員が長期安定的に働き続ける場所を提供する」を掲げており、経営方針として、常にお客様の心を第一と考え、創造性と研究心を大切にして、信頼される製品を作っております。また、環境への心配りを忘れずものづくりに取り組んでおります。
当社は約50年近く、紙器抜型丸刃製造を行っており、刃付け作業や研磨技術に関してのノウハウを持っております。このノウハウを活かし、切れ味の良い刃物製品を製作することができるようになりました。また、2010年から、異分野である医療分野にも参入し、「医療用穿刺針」製造も始めました。現在、大手医療機器メーカーに月/2,500本納入実績があり、また、埼玉県産業技術総合センターと共同開発をした、「6面医療用穿刺針」では意匠登録も受けることができ、埼玉県では渋沢栄一ビジネス大賞など複数の賞を受賞しました。
医療用穿刺針とは、ドレナージ術(体内にドレーンチューブを置き、創傷部や体腔内にたまった血液や膿、浸出液などを体外に排除させる方法)に使用する針。主に、外科手術の最後に使用し、ドレーンチューブを身体に通すために使用する針のことです。当社の一押し製品は、現在実際に流通している製品よりも、「身体に優しい穿刺針製造」をテーマに掲げ、ものづくり開発支援のもと、埼玉県産業技術総合センターと協同開発を行い、貫通時の針の切れが良くなった製品(すくい面)、針・チューブ貫通後の切り口を小さくした製品(4面・6面)の穿刺針を開発しました。
今まで砥石加工で行っていた研磨を、電解研磨加工へ移行することで、大量生産やコストダウンにも繋がり、また鏡面加工仕上げでの製品が提供可能になりました。この技術での仕上げ加工を実施した製品が、非常に切れ味の良い製品に仕上げることができ、知的財産で保護する方法がないかと、知財総合支援窓口に相談がありました。
2007年に梱包装置の新規部材を開発するため、特許の先行技術調査の仕方と、特許の出願方法について知財総合支援窓口に相談があり、その後「海外から同じような紙器抜型用丸刃が入ってくるので、自社製品を特許で権利化できないか?」と相談がありました。
以後、以下のような相談が継続してありました。
1.紙器抜型用丸刃の特許出願と意匠出願
2.穿刺針の先行技術に関する権利範囲の解釈
3.穿刺針の部分意匠に関する図面の書き方と出願の仕方
4.カテーテルのチューブ側面に設ける孔の製造方法の特許出願
また、埼玉県産業技術総合センターと連携していくことについても相談がありました。
初めは梱包装置の新規部材や紙器抜型用丸刃の特許出願相談でしたが、紙器抜型用丸刃の形状などは意匠で守る方法もあることを説明し、意匠登録出願の仕方も説明を行ったところ、医療用の穿刺針などの部分意匠の願書を自分たちで作成することができるようになりました。また開発商品に対し、それを知的財産で保護していくことの意識が高くなったと感じます。
本当にどんなことでも親身になり、事細かく教えていただけます。そのため、少しでも分からないことがあった場合は、是非ご相談に行っていただきたいと思います。当社は、勉強不足もあり、知的財産の件では分からないことが多々あり、現在も分からないことは必ず相談に行き解決に繋げております。もし、疑問点がある場合は是非活用していただき、一緒にその問題を解決していくことが良いと思います。
開発型企業として、新製品を埼玉県産業技術総合センターや公益財団法人埼玉県産業振興公社の産学連携部門や販路開拓部門などを活用して、迅速に且つ効率良く新商品を開発しています。また、商品の1つに「身体に優しい穿刺針」を目指すことにより、患者の手術の負担が軽くなる思いやりのある製品の開発をしているところに企業の魅力を感じます。 (小林 公)
医療用針の意匠出願について(178.2 KB)
掲載年月日:2017年8月29日