当社は、エンジン付き発電機、芝刈機・草刈機、電動カート、石油ファンヒーター等の修理・点検・保守・販売を行う企業として昭和57年4月に創業しました。「人を大切に、物を大切に」が、当社のテーマであり、「機械を再チャレンジ」させることにより、省資源、省エネルギーに貢献することを、基本方針としています。
また、新しい技術の開発も開始し、平成4年1月6日に最初の特許出願を行いました(特開2005-180129:エンジンの始動・停止盤)。この発明は代理人に出願を依頼したものの拒絶査定となってしまいましたが、最新の特許出願2件は、自身で出願をし、拒絶理由に対する補正を行い、権利化することができました。
当社は、顧客要望に迅速に対応することを基本としており、技術の本質にせまる必要、顧客のニーズを適切に把握する必要が、結果的に有用な装置の発明になると思っております。これが、セキュリティ確認装置(特許第301704号)、3相交流負荷試験機(特許第60102874号)の開発につながりました。
従来、3相交流発負荷試験機は、水抵抗器(水槽に水を張り、導通剤を入れてよく攪拌し、そこに3極の電極を挿入する。)を使用することが多いですが、この方式は、小電力吸収であるものの、装置が大掛かりになり、かつ、管理も大変です。一方で、ニクロム線方式は、ニクロム線の使用中の管理(冷却、振動防止、強度保持)が困難であり、その為の管理者が必要となります。
両者とも大掛かりとなるため、分解、移動が困難で、試験経費も高額になりがちです。そのため、発電装置の負荷吸収試験は省かれる場合すらあります。
本発明の3相交流負荷試験機は、ニクロム線方式の欠点を解決するもので、広く、安価に販売されている商品であるヘヤードライヤー(安全装置を内蔵、筐体の強度も十分)に注目し、これを回路に必要個数組み込むことにより、目的の効果を得ることができます。取り付ける衝立架台もドライヤーを組立て取り外すことにより、簡単造に収納容器に入れ、持ち運ぶことが可能です。
創業当初より、新しい物、顧客の満足、畜産農家、社会への貢献を心掛けておられました。知財にも高い関心をお持ちで、当初は特許出願を代理人に依頼されていましたが、ご経験を積まれ、特許出願、権利化等、ご自身でされておりました。そのような中で当窓口をお知りになり、ご相談いただいて以降ご支援をさせていただいております。
3相交流負荷試験機の出願(特願2011-197449)は、代理人に依頼することなく、ご自身で出願されましたが、この出願のための、請求項、明細書に記載につき、平成23年7月に相談に来られました。
平成23年度は、出願のための支援を行いました。平成26年度には審査請求の助言を行い、拒絶理由通知を同年12月に受けとられたため、補正書、意見書の記載につき支援しました。平成27年7月に拒絶査定となりましたが、審判請求を行い、前置移管、前置解除を経て、合議体にて平成28年7月に結審通知、9月に特許査定の送達となりました。また、28年度にはライセンス支援も含めて9件の支援を行いました。本件は長期間にわたり、密度の高い支援となりました。一時は、権利化の可能性を危惧したこともありましたが、同社の熱意、専門家(弁理士)の適切な読みと指導の結果です。
当初より、知財につき極めて高いレベルの企業でおられます。また、顧客のニーズに敏感な企業でもあり、優れた実用性の高い発明をされる能力をお持ちです。当初は手続についての支援が多かったのですが、窓口支援の能力と価値を認識していただいたものと思います。今後、新規分野の進出も計画されており、より積極的に活用していただけるものと思っております。
これはもしかすると、知財かなと感じられたら、まず相談されることをお勧めします。特許・実用新案、意匠、商標、ノウハウなんでもに親切丁寧に対応していただけます。まず始めてください。アイデアやヒント、また、問題点は日常どこでもあります。絶えず挑戦し、失敗を恐れずに頑張りましょう。また、窓口を利用することで、知財にかかる費用は大幅に低くなり、気軽に知財とお付き合いができるようになります。代理人に依頼されなくても、今回のような重厚な支援が得られることも、御記憶ください。
研究心旺盛な、また、誠実な職人かたぎの方であり、絶えず研究をつづけておられます。一方で、すばらしいビジネスのセンスをお持ちの方で、顧客のニーズを把握し、優れた発明とされる見識をお持ちです。今回の事例は、同社の発明のセンスと専門家の厚い支援による成果と考えています。高い見識を持つ専門家の適切かつ熱心な支援が大きな決め手となりましたが、今後も、このような支援を続けて行きたいと思っております。 (加根魯 和宏)
3相交流負荷試験機(170.4 KB)
掲載年月日:2017年8月31日