当社は2016年に創業50周年を迎えました。創業以来、多品種、小ロットのオーダーメイド部品を得意とし、お客様それぞれのニーズに合わせて様々な高精度、高品質な金属機構部品を製作してきました。
昨今、より高い品質を求められるようになった各種金型向け部品はもちろん、医療器や自動機など幅広い分野で、お客様よりご好評いただいております。
グローバル展開も積極的に行っており、インドネシア、中国、韓国に海外工場を構え、本社を中枢とした密接なネットワークを生かして、海外工場でも日本と同品質の精密部品を製作しています。
『ピン屋一筋、半世紀。』
半世紀の間、金属加工で培った技術を生かして、様々な製品を製作してきました。
先端φ0.3の小径ピン、6条の研削ネジ、ネジ底フラット0.07の製品ネジ等、一般に加工が難しいとされる形状も、当社の得意分野です。
業界でも古い歴史を持つ当社は、切削、研削は勿論のこと、放電加工、熱処理、表面処理、品質検査にいたるまで、社内での一貫加工体制を整えております。現在、品質、納期、価格ともにご好評いただき、数多くの大手メーカー様とお取引をいただいております。
ダイカスト金型業界のお客様のニーズに応えるべく、2015年に松阪工場に第三工場を増築、NC加工機を増台して、ダイカスト金型用鋳抜きピンの生産力を月産1万本から2万本に強化しました。
プラスチック金型用コアピンの製造技術と精度管理によって培われたノウハウをダイカスト金型用鋳抜きピンにも採用することで、高精度を維持しながら製造工程、生産方法に工夫を凝らし、更なる低コストと短納期対応を実現しました。
大手鋳造メーカーをはじめ、多くのお客様にご愛顧いただいております。
同社は従来より、高精度の金属機構部品を中心に製造販売されておりましたが、このたび新製品開発の一環で金型の冷却装置の製造販売を行うことになりました。冷却装置そのもの、は元々持っている精密加工技術を生かして製作する事は可能でしたが、各社の冷却装置が持つ特許に関しては不明な事案も多く、大阪府ものづくり支援課を通して、窓口に知財支援要請がありました。
同社は従来金型部品の精密加工を主体としていました。しかし、新規市場開拓が必要との機運が高まり新製品として冷却装置を開発することとなり、この開発の一環として知財分野をスキルアップしていく必要性が高まりました。これを受け、当窓口から派遣した弁理士の指導により、最初に新製品に関する特許調査を実施することになり、国際特許分類などを使用した広範囲の特許調査方法等の支援を行いました。
調査は終わりましたが、さらに社内の技術者の知財スキル向上のためにも、自社技術の出願を特許事務所に頼らず自分たちが主体となって、技術者自ら明細書を書いていこうという声があがりました。その後、窓口担当者や弁理士の指導を受けながら、初めての明細書作成としては極めて速い1.5か月で完成することができました。
今回の特許調査や特許出願を通じて、社内に知財制度を十分に理解した人材を育成することができ、今後の新製品開発時も同様の手法で特許の調査から自社技術の出願まで、一貫して行える体制を整えるきっかけになったと思われます。これから早期審査請求を行いますので、権利化に向けて新たな経験を積むことでより深い知財制度の理解と最終的な知財活用に向けたスキルの向上が期待されます。
特許に関連する様々な相談に親身になって相談を受けていただきました。また、内容が進むと弁理士の支援をしていただけるなど、相談内容に応じた柔軟な対応をしていただけました。
知財総合支援窓口をおかれている、ものづくりビジネスセンター大阪(MOBIO)が当社と非常に近いこともあり、非常に相談のしやすい窓口であると感じております。
同社は新たな事業展開を考えられており、その中で他社特許調査と自社権利取得は重要な案件となっております。今回、特許出願まで行うことで技術担当者の知財スキルは大きく成長したと思います。今後このスキルを社内で横展開することで、知財に裏付けられた事業展開を推進いただければと考えます。 (別府 賢一)
成型機器の冷却装置の出願戦略(324.7 KB)
掲載年月日:2017年9月13日
更新年月日:2020年2月20日