窓口支援事例
神町電子株式会社
特許商標社内体制

不活性ガス循環式ブラスト装置の開発

企業情報

所在地
山形県東根市
ホームページ URL
https://www.jinden.jp/
設立年
1979年
業 種
製造業
従業員数
95人
資本金
1,000万円

企業概要

 当社は、ATM装置、電子顕微鏡、分析装置、医用機器及び産業用機器の製造と修理を行う製造部門、OA機器、OAサプライ用品及びリサイクルトナーなどを扱う商品販売部門並びに保育所運営、さくらんぼやラ・フランスをはじめとする地場特産品を扱う関連会社などで構成されています。多種多様な事業がありますが、主要事業は38年の歴史をもつモノづくりです。モノづくりという軸足は昔から変わっておりませんが、製造する製品はお客様のニーズと時代の変化に柔軟かつ早急に対応して常に進化しています。

自社の強み

 当社は重厚な機械設備を所有しておりません。人が目と手と心で製品を組立てて検査するのが製造事業のメインになります。多くの企業で以前ほどの勢いが無くなったと言われるQC活動を現在も継続しています。人と品質が当社の強みと考えます。また、これまでの社業にない装置開発事業に2013年より取り組み、導入した3D-CAD,CAE,3Dプリンターを活用したシミュレーションでは、構造解析だけではなく熱流体解析にも取り組んでいます。この装置開発事業では受託開発以外に自社製品の開発も行っており、もちろん知財の視点も忘れないようにしています。このように、新しいことにチャレンジし続ける精神も当社の強みと考えます。

一押し商品

 当社は、不活性ガス循環式ブラスト装置を自社開発し、「PRS」と命名しました。これは、金属粉末材料を用いた3Dプリンター技術であるEBM(Electron Beam Melting)積層造形装置の運用に必須な金属粉末リサイクルシステム(PRS:Powder Recycle System)装置であり、造形物に付随する仮焼結体を解砕・回収して有効に再利用し、ショット材及び造形材料の微細な金属粉末においても粉塵爆発対策を講じた安全な装置です。
 この不活性ガス循環式ブラスト装置「PRS」では、特許第6605207号,特許第6846038号を取得しています。

知財総合支援窓口活用の概要(記:窓口担当者)

窓口活用のきっかけ

 同社は、それまでも自社開発のアイデア商品はあったものの、他社からの委託と請負での収益がメインでした。経営も2代目の後継者に引き継がれ、委託と請負だけでは先が見通せない状況の中で、体力のあるうちに自社商品を手掛けたいとの思いで、「やまがた地域産業応援基金助成事業」の採択企業となり自社商品の開発を行うことが決まりました。自社開発商品により核となる人材を採用し、将来に向けた体制作りを模索する中で、知財活用のために窓口にお声がけいただいたことが窓口活用のきっかけでした。

最初の相談概要

 同社が自社開発したブラスト装置を知財権で保護するために、弁理士による専門家派遣を行い、装置の構成については特許権を、商品名については商標権を活用することとしました。また、模倣品排除を目的に主要な機構部分を実用新案として公知化する戦略立案を援助して、同社による自社出願を支援しました。

その後の相談概要

 同社は、自社開発商品が初めてであり、職務発明規程などが整備されていなかったため、職務発明規程を新たに整備しました。規程の整備に際しては専門家(企業OB)派遣を行い、社長と開発責任者の意思統一を図りました。これによって、従業員のインセンティブや新たな採用時の会社のイメージアップにつながったものと確信しております。

窓口を活用して変わったところ

 同社は、自社開発商品が加わったことで、従業員の士気が高まり、少数精鋭の開発部隊が出来上がりました。自社開発商品が無事納品されて、客先で活躍する日も近いでしょう。職務発明規程を運用しつつ徐々に開発商品を増やし、商品アイテムが増えることで、顧客や従業員に対して会社の将来性を示すことが可能になったと思います。このように経営には知財の視点が不可欠であることをご理解いただけました。今後の開発にも窓口を利用されることを期待しております。


企業からのメッセージ

 特許・商標・実用新案の出願と権利化などにご支援を頂き、自社開発製品の知財権による保護ができました。知財から直接利益を得ることは難しいですが、知財権保有の実績が開発案件受託に結びついたり、知財の視点を持つことによる技術開発の方向性の明確化につながったりすると考えます。また、専門家も派遣して頂き、知財戦略の検討や職務発明規程の制定にご協力を頂きました。知財に関するネタがなくとも支援窓口に相談してみることをお勧めします。

窓口担当者から一言

 同社の自社商品開発では、知財権による開発商品の保護に加えて職務発明規程策定も支援し、自社開発の為の体制作りができたものと思います。今後は、知財権活用によって商品アイテムを増やし、自社ブランド品の上市と拡販に期待します。 (髙橋 正知)

不活性ガス循環式ブラスト装置の開発(945.4 KB)

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掲載年月日:2017年10月31日

更新年月日:2022年8月15日

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