当所は、携帯用扇風機の生産販売を目的として2017年に設立しました。主に商品の企画立案と設計を行っており、扇風機本体や取り付け部分等の製造については、協力メーカーへアウトソーシングする方法でお客様のニーズにお応えしています。
これまでに、新しいタイプの熱中症対策技術を研究開発し、様々な関連サービスを生み出しています。今後も有用な技術を開発し、熱中症対策の技術革新を社会へ広く普及していくことで、社会的課題の解決に貢献します。
また、着用扇風機「抱っこファン」の名称と扇風機前面のロゴマークは商標登録出願し、積極的な権利化にも取り組んでいます。
(商願2017-14607、商願2017-20916)
使い方のアイデアを増やすことで、利用価値を無限に高めていく戦略をビジネスモデルとしています。つまり、扇風機の取り付け部品と周辺部品をハードウェアとし、そのハードウェアで様々な使い方ができるノウハウを生み出し、それをソフトウェアとして充実させることで、扇風機全体の利用価値を無限に高めていく戦略です。これはソフトウェアが増えることでハードウェアの付加価値が高まっていくコンピュータと同じ戦略です。
また、熱中症対策となる扇風機の取り付け部品については、3Dプリンターを活用し、好きな場所へ機能的に取り付けることができ、素材や色も自由に選択できるオーダーメイドサービスを2017年7月から開始しました。
昨今、手に持って使えるミニ扇風機(ハンディファン)が大人気ですが、気温が高い中でハンディファンだけを使っていると、汗だけが乾き、体温が上がったままになり、熱中症の危険性があるため、安全対策として水で濡れたタオルと一緒に使用するよう医師が注意喚起していました。そこで、暑さ対策で使われるハンディファンの安全性を高めるための補助ホルダーとして令和2年4月に「首もと冷却タオルファン抱っこホルダー」を販売しました。当ホルダーは水で濡れたタオルと市販で販売されているハンディファンを一体化させ、胸から首まで効率的に冷やすことができるため、汗がうまくかけない高齢者や障がい者の方などにも安全にご利用いただけます。
同所は、アイデアを保護するために特許の権利化を目指し、出願も済ませていましたが、国内優先権の活用と分割出願の仕方について相談するため、ご自身で作成した明細書を持って当窓口へ来られました。
「掃除機のパイプに扇風機を付けて風を送る装置を特許出願したが、国内優先権を使って補強したいのでその方法と、複数の発明が1つの特許出願に記載されているので、分割する方法について教えて欲しい」との相談を受けました。そこで、国内優先権を使った出願方法及び分割出願では、各明細書の記入方法等を説明すると共に、各種費用や制度の概要についてもご案内しました。
最初の相談は、掃除機のパイプに扇風機を付けて風を送る装置の発明でしたが、その後、使用者の利便性を高めるためのバリエーションが追加され、ヘルメット・リュックサック・ベルト・車椅子など8アイテムに装着可能な扇風機の機構になりました。先に出願した内容では8アイテムに装着できる機能は記載されていなかったので、そのバリエーションを含めた内容を追加して再度特許出願するため、相談を受けました。
初めは個人での相談でしたが、商品開発に成功し、個人事業主としてビジネス展開を図るようになりました。また、開発の際に流通している既成部品を上手に製品の中へ取り込んで、短い開発期間で商品化し、価格競争力のある商品を開発しました。
当初の相談内容は、ライセンシングのみを目的とする特許出願でしたが、アドバイスを伺っているうちに、自分で実施する方がよいという気持ちに変わり、起業するきっかけになりました。窓口では特許に関することだけでなく、起業に向けた全体プランの中で総合的なアドバイスをいただくことができ、短期間で成果を出すことができました。窓口が提供するサービスは個人で起業を考えている方にとっては大変助かるものだと実感しております。
近年は気温が上がり熱中症が急増していますが、屋内外で熱中症にならないよう好きな場所へ機能的に身に着けられる扇風機ができたことは画期的であり、今後いろいろな分野で使われる可能性があると思います。また、世界初の3Dプリンターを活用した扇風機取り付け部品のオーダーメイドサービスにより、ユーザーのニーズを掴むことで、新しい商品が生まれていくと思います。 (小林 公)
着用可能扇風機開発支援(323.1 KB)
掲載年月日:2017年10月12日
更新年月日:2020年5月 1日