当社は、1969年に創業以来、自動車リサイクル業を営んでおりますが、今ではこれまでの解体屋という枠から世界の「静脈産業」(排出・廃棄される不要物を回収し、再利用・再資源化して適正に処分する業態)の確立と循環型社会の創造を目指す域に入ってきました。その為に、当社では単に利益を追求するだけではなく、海外の拠点づくりは勿論ですが、中古部品の国際的な品質規格の提示や、国際的な教育機関の設立、システム開発など様々な活動を行っています。
また、全国の自動車リサイクル業者と共に加盟するNPO法人RUMアライアンスを設立し、業界の発展に尽力しています。
当社の強みは、車両仕入れから、海外での販売、品質のトレーサビリティを実現した自動車リサイクル総合管理ネットワークシステム「KRAシステム」を運用し、提携する海外90カ国の販売拠点から、エンジン、部品にバーコードラベルをつけて品質情報を管理し、安心・信頼できる取引を実現していることです。
また、2013年には当社の中古エンジン及び関連するトランスミッションの評価規格「PAS777」が英国規格協会から正式に発効され、今後、ISO規格に発展する可能性もあります。この規格により自動車の中古エンジンの機能を評価する基準が明確になり、購入するお客様の安心につながっています。
自動車の椅子はもともと長時間の運転などを考慮して、人が可能な限り自然な動きや状態で使えるように人間工学に基づいて精巧・高品質に作られております。
当社では、この自動車の椅子の特性に着目し、家庭等で使える椅子に再利用した椅子「トレジャーチェア」を製造販売しており、当社の一押し商品として好評を博しています。
同社は、自動車リサイクル及び中古自動車の輸出販売を行っており、海外展開について東京でINPIT海外知財プロデューサーの支援を受ける機会があり、その時、地元の石川県をはじめ全国に知財総合支援窓口があり、知財面で海外展開に関しても支援している事を知りました。また、INPIT海外知財プロデューサーからも、石川県の知財総合支援窓口に同社の支援要請があり、窓口活用のきっかけとなりました。
同社は、政府開発援助(ODA)や独立行政法人国際協力機構(JICA)の実証事業を通し、ブラジルのCEFET-MG大学で自動車リサイクルの研修センターを設置予定であるが、これに付随した技術ノウハウを保護するためにはどのようにしたらよいかとの相談が有りました。これに対し、当窓口事業には、海外知財専門家を派遣し機密保持契約等に関する契約書作成支援がある事を紹介し、この制度の活用を勧めました。
同社は、ブラジルのパートナーと合弁企業を設立してフランチャイズ事業を立ち上げる事を検討しており、合弁契約書とフランチャイズ契約書のたたき台を作成されました。これに対して海外知財専門家の弁護士から一般的な国際法務の見地によるアドバイスをし、その後は現地ブラジルの弁護士からブラジルの法規制に対応するようにアドバイスをもらう事としました。
知財総合支援窓口では、国際法務に詳しい弁護士のアドバイスを受けられる事や、海外知財契約書作成支援がある事を知り、こうした制度を活用したことによって、外国パートナーとの合弁会社設立に関してアドバイスを受ける事ができ、技術流出を防ぎながらフランチャイズ事業を発展させる準備ができました。
海外で事業展開を進めていくには、現地の法律による規制があり、国内より多くのリスクが伴う場合も有ります。知財総合支援窓口から海外知財プロデューサーの利用や海外専門家派遣のアドバイスを受けて、海外企業と秘密保持契約やライセンス契約を締結し、リスクを低減する事を勧めます。
本件では、海外での事業展開に関して海外知財専門家(弁護士)を派遣して海外知財契約書作成や現状に則したアドバイスを提供いたしました。
知財総合支援窓口では海外展開における知的財産権に関する相談も受け付けていますので、気軽にご相談下さい。
(島田 隆)
海外知財契約書作成(936.4 KB)
掲載年月日:2017年11月27日
更新年月日:2022年8月12日