当社は、デザイン企画制作を中心にWEB・グラフィックのサービス業務を展開してきましたが、福井県のものづくりにもデザイン力で貢献できないかと2015年から越前和紙を素材に選び、商品デザインから試作品作りに取り組んできました。「和紙ック-WA CHIC-」として2016年5月より販売を開始し、セレクトショップから百貨店へと、少しずつ販売先も増えてきました。2016年11月には近畿経済産業局のクールジャパンに認定されました。2017年8月にはフランス・パリで開催される写真展への出展を行いました。現在、ホームページで「和紙と西洋絵画」としてネット通販を開始しています。
もともとデザイン業を営んでいましたので、商品の魅力となる機能・デザイン面で自社の強みが生かせました。「癒し」という現代に求められているニーズと、上品で優しく光に透ける越前和紙という素材を使用した商品を企画デザインし、作ることができたと思います。この経験を活かし、福井県内でものづくりのデザインの専門家としてアイデアを出し、特許から販路開拓まで幅広く提案ができる企業となっていきたいと考えています。
「和紙ック-WA CHIC-」は2アイテム(大サイズと小サイズ)があり、中に入れる和紙作品(写真・絵画・書・木版画)の入れ替えが簡単にでき、飽きることのない新しいアートフレームとなっています。昼は自然光や室内光で和紙の持つ優しい素材感を楽しみ、夜は内蔵されているLED照明で和紙フレームと和紙作品を背面から輝かせることで、今までにないアート鑑賞を楽しむことができます。さらにホテル・レストランにコマーシャルコンテンツやロゴマークなどを飾ることで、独自の店舗空間を演出できます。
「和紙ック-WA CHIC-」ホームページ:https://www.wachic.info
同社は、以前より、デザイン力を生かしたものづくりに積極的に取り組まれており、オリジナル商品の知的財産権による保護についての相談がありました。
最初、和紙を活用したアートフレーム(額縁)の試作品を見ながら、知的財産権による有効な保護を図るべくJ-PlatPat検索操作支援を行うと共に、意匠制度によるデザイン面からの保護に加え、特許・実用新案制度による技術アイデア面からの保護についての説明を行いました。また、J-PlatPat検索により、試作品の更なる改良のヒントも得られることについて説明しました。
その後、同社は、当窓口での相談内容及びJ-PlatPat検索結果を踏まえ、自ら弁理士に意匠登録出願、特許出願等について相談し、特許出願を依頼しました。
また、窓口では今回の開発品に用いる商標について、J-PlatPatによる先行商標調査、出願手続の説明を行いました。その後、同社は、自ら書面による商標登録出願を行い、商標登録を受けました(商標登録第5862270号)。
各手続を自ら進めていくことを通じて、特許、実用新案、意匠、商標の各制度の保護対象、保護範囲等についての理解を深められ、この理解が事業活動における知的財産権制度の活用につながることをご理解頂けたと思います。
何も知識がない状態で相談に伺いましたが、本当にわかりやすく説明をしていただき、強い味方として心強く感じました。知的財産の制度自体は難しくなく、出願の流れを最初に知っていることが重要であり、後では手遅れになることが多いことなどを教えていただきました。
経営資源が限られるなか、中小企業等が全て独力で知財制度の利用を図ることは実際、困難です。同社は、要所要所で弁理士に出願依頼をし、あるいは自ら手続を行うなど、うまく知財総合支援窓口を利用しながら知財制度の利用を進められたと思います。 (愛宕 淳一)
オリジナル商品の知財制度による保護(654.6 KB)
掲載年月日:2017年12月 4日
更新年月日:2020年3月 4日