当社は金属加工(熔接)によるOEM製品製造を中心とする会社です。
「当社は、世の中に役に立つために存在し、人々の生活が豊かになるために技術の英知を追求し、大樹を広げて次の時代に伝える企業を目指す。」という経営理念に基づき、生活が豊かになる商品を安全な品質でお客様にお届けできるよう日々努力しております。
当社が金属加工の中で一番得意としているのは板巻パイプ作りで、一枚の金属板を一工程で丸め、縦溶接し、筒を作ることができます。
技術面では溶接をメインとし、TIG、MIG、YAG、レーザーなど様々な溶接種類を採用できます。また、職人の手による溶接、ロボットによる溶接など、お客様の要望に適した方法で提供しております。
仕事がスムーズに稼働できるよう、溶接の他にプレス、スピニング、切削、研磨などのための設備も整えています。
長年培った要素技術を利用して開発した商品で、家族全員が食卓を囲み、楽しい食事により家族の絆を深める事を役割とする「寿司トング」(特許第6199350号)です。
寿司は日本の飲食文化で世界中に広く認知されていますが、外国どころか日本の食卓でさえ、「巻き寿司」や「ちらし寿司」を作ることはあっても、「にぎり寿司」を作ることはあまりありませんでした。当社の寿司トングを使えば、簡単に清潔で美味しい「にぎり寿司」を楽しむことができます。
同社はOEM製品の製造の技術を活かし、自社製品の開発に2014年から取り組み始めました。商工会議所から、当窓口を紹介され、毎月実施される外部窓口における専門家相談の際に、自社製品の権利化の可能性について相談されたことがきっかけです。
自社製品として発明された「寿司トング」に関して、専門家(弁理士)と共に発明の詳細を確認し、IPDL(当時)での先行技術調査を支援いたしました。権利化の可能性については、進歩性判断や出願に関する専門家からの助言を得て、2015年に特許出願を行い、約2年後に特許権を取得されました。
商品化に向け、スタイリッシュなデザインに改良されたことから、意匠としても保護したい、という要望が生じ、再度窓口を活用されました。窓口ではJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)の調査方法の説明や全体意匠並びに部分意匠の出願に関する支援を行いました。(意匠登録第1589279号、第1589280号)
その後、「寿司トング」を販売するにあたり、同社内で顧客ターゲットを明確化した結果、「GOTO」のオリジナルロゴを商品に刻印することとなり、「GOTO」のロゴマークの商標登録出願に関する先行商標調査や手続の支援を行いました。
同社は、OEM製品の製造を中心とした事業を行っていましたが、今回、自社製品の開発・商品化に取り組んだことをきっかけに、知財の重要性に気付きました。特許・意匠とも権利化できたことにより、自社技術に自信を持つことができ、積極的に販路開拓に挑戦されるようになりました。
今回、初めて自社製品の開発に取り組み、試行錯誤しながらようやく商品化が実現しました。OEM製品が中心で、知的財産権に殆ど関心が無かった状況から、窓口を活用したことにより、知財を正しく理解し、自社の技術、商品価値を保護することが可能であることを知りました。自社の力で権利化できたことにより、費用的な負担も軽減できました。
知財総合支援窓口を利用することで、様々な情報を得ることができ、勉強になります。
同社は、今回、初めての自社製品開発に取り組み、商品化する前に権利取得を実現できました。経営者自ら、社員と共に一生懸命取り組まれている姿勢と、経営者の熱意を受け、社員の皆様が一丸となってカタチにしていくという、企業のあるべき姿がとても印象的でした。これからも、知財に関わらず経営面でもサポートできるよう努めたいと思います。 (伊藤 里子)
OEM製造技術を活かした自社製品の知財保護(1.3 MB)
掲載年月日:2017年12月15日
更新年月日:2022年8月10日