当社は1963年に創業し、鋼製建具の製造を通して日本の経済発展に貢献してきました。現在は、これまで培ってきた技術やノウハウを継承しながら、建材メーカーからいただく様々な要望をカタチにしています。
その結果、複数の大手住宅関連会社から指定工場として認定されるようになり、高品質な商品提供を心がけながら日々生産に励んでいます。
また、近年では、製作難度の高い重量建具にも強みを発揮し、多様なデザインのスチールドアなども製造しています。
当社は、遮煙扉・防音扉、大型扉、鉛入り扉、特殊オーダー扉などの製造を得意とし、特に、曲線を多用したデザイン性の高いドアやパネル、多角形状のガラリ(ブラインドの桟を固定させた扉)など製作難度の高いセグメントの重量建具に強みを有しています。
また、当社は社員の大半が異業種出身という多様性も有しており、そのような特徴を活かし、多目的ラックとして使用可能な新製品を自社開発する試みなどにもチャレンジしています。
当社が長年培った製造技術を駆使して開発した新製品「REDOR(レドール)」は、サーフボードやウェットスーツなどのサーフィン用品をコンパクトに収納できるラックです。このラックは、全体的な形状を自由にカスタマイズできるうえ、移動も容易にできるという特徴があります。
サーフィンが2020年の東京オリンピックの追加種目に正式決定されたこともあり、若者の間でサーフィンの人気が一層高まっています。この新製品はサーファーでもある当社の開発技術者によって消費者目線で開発されたものであり、サーファー仲間や販売店などから早期の上市が期待されています。また、2017年10月には「REDOR」で商標登録されており(商標登録第5987129号)、特許・意匠についても現在出願中です。
同社は、新製品の中核部分を特許で保護したいと開発当初から考えており、権利取得の方法について相談できる機関を色々調べた結果、知財総合支援窓口の存在を知り、当窓口に来訪されました。
「サーフィン用品などを自在に収納できるラックを開発したので、自社で特許出願を行いたい」という相談でしたので、最初に先行文献調査方法や特許出願書類の作成方法などを説明しました。
また、特許権取得後の権利活用方法などについて意見交換を行って経営課題を抽出し、今後もその課題達成に向けた事業計画策定や補助金活用を含めた資金調達など、知的財産だけでなく広範な支援をご提供できる旨をお伝えしました。
同社の経営課題達成に向け、主に次のような相談対応を継続的に実践しました。
①埼玉県よろず支援拠点との連携による経営支援や補助金申請支援、②弁理士を交えた特許・意匠・商標の出願検討、③意匠・デザイン専門家とのデザインの更なるクオリティ向上の検討、ブランディングに詳しい弁理士との商標ブランド化の検討、④弁護士を交えた法的リスクや商品保証規定類の検討など、広範に支援しました。
同社は、開発当初から新製品の中核部分を特許で守ることを考えていましたが、知財を事業戦略に活かすという考え方は、知財総合支援窓口を活用して初めて具体的に知ることができました。その結果、開発した新製品を販売して収益を得ることに加え、知財権を経営資源の1つとして活用することにより、関連収益を得ることが可能であるという新たな視点をもつことができました。
新規事業などにチャレンジする場合、自分では想定し得ない様々な課題が出てきます。その都度、自分で解決していくのは当たり前ですが、相談できるプロフェッショナルが近くにいることは、事業を前進させるうえで重要なファクターだと思います。それを広範に支援してくれる窓口は、当社と同様に皆様にとっても大きな助けになると思います。
相談者が知財総合支援窓口に来訪されて最初に行う知財相談を「きっかけ」として捉え、他の支援機関と連携したり各種の専門家を活用したりしながら、継続的に支援しています。換言するならば、単なる知財相談に留まることなく、相談企業の経営課題達成に向けた「広範な支援」となることを目指して支援中です。 (高橋 洋三)
マルチラックの事業化支援(354.9 KB)
掲載年月日:2018年1月18日