「オプトニカ工房」はいろいろな分野の現場からの豊富な情報をベースに人間工学的な工夫やアイデアを駆使し、「グッズ・ソリューション」の尽きない形を追い求めています。
特別支援教育現場、障害児教育現場、リハビリテーション現場や自立化支援現場、高齢者介護現場からプロフェッショナルなユーザーに対応するなどのさまざまな現場に最適な用具の開発を目指して最適解を求め提供しています。
長く発達障害児者向け独自製品の開発及び販売を続けてきました。多くの現場の声を聴きながら、大手企業では届きにくい分野の商品開発にスピード感をもって取り組める面はひとつの特長ではないかと思います。
また、特定の工程(取り扱い素材や工法)を有しないことで、縛られることなく広い視野で自由に製品仕様を設計出来ることも、低価格と独自性の維持に必要な要素ではないかと思っています。
OEM製品を含め幅広い商品提案と開発の出来るスタンスで取り組んでいます。
ユニバーサルゲームといったゲームの分野の一つを開発しました。老若男女誰もが楽しめるゲームであり、この製品「おけだま」(商標登録第5954939号)にはまさに現場が求めている解答があります。高齢者には慣れ親しんだお手玉をタワーの受け台に投げ留めることで懐かしく楽しく遊ぶことができ、その点数を競い合うこともできます。一方では子供たちが我先にと飽きることなく争うゲームにもなっています。形状、質感含めユニバーサルプレイに要求されるゲームとは何かを十分に考察されつくした一品です。
栃木県知財総合支援窓口では、知財支援を地区の図書館と連携して行っています。小山市立中央図書館では「発見!小山ゆかりの企業展」という催しを毎月開催されており、展示企業を開拓するのを共同で行っています。図書館からのリクエストに応える中で相談者である同社社長が窓口に来られ、新製品を展開したいが、是非知的財産権で守りたいという要望があり相談を受けました。
「おけだま」の試作品を持って来られ、最も効率的で効果的な保護の方法について相談を受けました。商品の特徴から、意匠、商標、著作権に関しての具体的な進め方について知りたい旨の相談でした。
本試作品から考えられるイメージは、誰でも楽しめてなおかつ競い合うゲームの要素を持ち合わせた、面白みを具現化する特徴ある形のものでした。開発部隊と試行錯誤を重ねられた結果、ほぼ最終に近い形であったので、専門家(弁理士)からの指導を受けながら意匠は直ぐに出願できました。遊び方についてのルールブックは同専門家からもアドバイスを受け、著作物として完成されました。それと共に「おけだま」という和の雰囲気を持たせた商標権を同一時期に取得されました。
その後、商品は介護施設等に徐々に浸透しています。同社社長を訪問したところ、第2弾以降のアイデアを披露していただき、その一部の意匠権もご自身で出願され取得されているのには驚きました。和の心と洋のゲーム感覚にユニバーサルという味付けが中心にある製品を、知的財産権で効率よく守る方法論まで体得されたと思います。複雑ではない案件は、パターンを正しく習得すれば、「自分でできる」と意識が変わったと思います。
女子社員や若手社員の研修としての側面も考慮し、積極的に同窓口に相談するなど大いに利用すると良いと思います。一連の活動は自社の製品やサービスへの理解も深まりコストダウンにも繋がると思います。最低限の費用で「知的財産の保護」をすることは今後の企業活動にとって必須になると思います。「使えるかどうかわからない」「高額だから」と躊躇する前に是非一度、相談を。「百聞は一相談にしかず」です。
その後開発されたゲームは、ロゴマークとキャラクターマークについて商標権を取得し、意匠、商標、著作権等の多面的な保護が事業活動の重要なファクターとして認識して実行されています。今後も精力的に発明・考案・創作されるオプトニカ工房様の活躍を期待したいと思います。 (樋田 治三)
ユニバーサルゲームの開発と知財保護(330.6 KB)
掲載年月日:2018年2月 1日
更新年月日:2020年9月16日