元々漁師だった当店代表が、当時水揚げされたホッケが競りにかけられ、燃料代にもならない利益しか得られない状況から、自らホッケを開き天日干し、その日のうちに獲れた魚に付加価値を付けて販売する商売を始めたことが話題となり、新聞報道などで紹介されました。最近では、効率よく美味しいホッケの開きが加工できる回転式魚天日干し機(ホスベー)を開発しました。現在は、地元で漁貝類の加工品の販売や、旬の海産物を豊富に扱う漁師の直売所として周知され、多くの常連客や評判を聞きつけた多くの方が店に寄っていただけるようになりました。現在では自社独自ブランド化の取組に力を入れ、多くの方が乙部町に来ていただけるよう願っています。
水産直売所として、目玉とした回転式魚干し機(ホスベー)を店頭前に設置し、話題を提供していた時期がありました。今ではどこの地域にも存在する装置となってしまいましたが、並行してこれまで提供してきた確かな品質の魚介類と付加価値を付けた加工品が、固定客を増やすことに繋がったと思っています。今後は、観光客の増加が見込まれることから、競合他社との差別化を意識した事業経営を目指し、積極的なブランド戦略を展開できる環境が整ったと思います。ただ、自然環境は年々変更していくため、漁獲高の急激な落ち込みや今まで獲れなかった魚が大量に水揚げされるなど、環境変化にも十分対応できる事業戦略が必要と自覚しています。
ホッケの一夜干し「男𩸽」です。当店は「泰安丸直売所」と店舗名を表示するように、船から水揚げされた海産物を直接販売している雰囲気を醸し出していることが特長の店舗です。新鮮な旬の海産物を提供していることがモットーですが、「男𩸽」を代表するように伝統あるホッケ漁をおこなった漁師が直接自らの手で加工しホッケの一夜干しを販売したことがきっかけで、乙部町の特産品となりました。
今後も地域の一押し商品として、我が直売所も地域と一体化してホッケの周知をしていきたいと思っています。最近では、遠く羅臼の業者からも買付に来られるほど道内では周知されているようです。
相談者は、味の良いオスの真ホッケが一般のメスのホッケと区別なく流通している事に目をつけ、大型のオスのホッケのみを選別してブランド化を計画し、積丹から江差海域で水揚げされた魚を仕入れ「男𩸽」としての販売を始めました。TV取材などで周知されてきたことから、商標登録の必要性を感じ、地元の信用金庫に相談したところ、知財総合支援窓口を紹介されました。
当初は、商標登録の手続きに関する相談でしたが、権利保護しようと思った経緯を確認したところ、第三者から類似品を出されることを防御したいとのことでした。商標権にはブランド化を意識した品質保証という効果があることを助言し、ブランド化による競合他社との差別化を活かした利益や、相談者の信用に繋がる効果について説明を行いました。
相談者に、商標登録によるブランド化の必要性について理解していただきながら、商標登録出願の手続きから登録まで継続支援を実施しました。平成28年12月に商標登録を果たすこととなりました。「男𩸽」という名称のストーリー性を消費者に伝え、希少価値であることを理解してもらうことや、満足感を提供することで商品価値が上がることを理解していただきました。
相談者は、元々の固定客が存在し、安定した事業経営を行っておられたのですが、TV取材が入ったことにより、顧客からの関心が一気に高まった効果を自覚されました。また、取材で取上げられた商品について名称の権利保護の必要性を大いに感じ、その手続き方法について支援窓口の有効性を強く感じていただけたと思います。今後も知財について気軽にご相談いただきたいと思っています。
知財総合支援窓口で相談した際に、出願手続きだけではなく、ブランド化への取組方法や商標(ネーミング)のストーリーを顧客へ伝える必要性や効果について等、幅広い支援をしていただきました。今後は季節に応じた旬の海産物についてブランド化を図り、切れ目ないブランド商品の開発と提供を積極的に検討していきたいと思っています。
商標登録をしたから安心するのではなく、如何にブランド展開し商品価値を上げていくかが、今後の大きな課題であり、次ぎなるブランド化を見据えて北海道を代表する高品質の商品を発信し、地域活性化の一因となるよう期待しています。 (森山 潤)
商標登録でブランド化への足がかり(421.1 KB)
掲載年月日:2018年2月22日