当会は、1974年3月29日に設立された道内唯一の畜産専門の農業協同組合連合会で、チクレンの略称で皆様に親しまれています。戦後まもない1945年、国民生活の衣・食・住すべてが欠乏した時代背景のさなか、政府は緊急食料対策を目的とした「緊急開拓事業実施要領」を制定し、食料の増産と新農村の建設という大きな目標と責任を担って戦後開拓事業が開始され、多くの開拓農業協同組合が設立されました。こうした国の緊急開拓事業が1975年4月をもって終束する中、畜産を主体として自立を目指す開拓農業協同組合が、新しい時代に即応した〝畜産専門の農業協同組合の連合会〟として新たに「チクレン」を設立しました。
当会は、牛の飼料の安全性を高めるため、原料の自給力向上に力を注いでいます。特に北海道産の牧草にこだわり、自然の生理にのっとった肥育方法を採用しております。輸入牛肉で一般的に使われている成長ホルモン剤については、いっさい使用しておりません。関連会社の株式会社北海道チクレンミートとともに、チクレングループとして肉の生産から牛肉の加工までを一貫して管理しているため、生産者、生年月日、肥育場所、給餌体系などの情報をチクレングループの牛肉情報公開システムにて確認することができます。
健康に育てられた牛たちの赤身牛肉は、霜降り牛肉と比べて低脂肪・低カロリーで大変ヘルシーです。当会では、北海道内の18農場で肥育されたホルスタイン種の銘柄の総称として、「キタウシリ」ブランドを展開しています。「キタ」は北海道、「ウシ」は牛を意味し、その「ウシ」とアイヌ語で大地を意味する「モシリ」を合体させた名称です。株式会社北海道チクレンミートで運営しているATSUHIGA精肉店「COOK」では、ブランド牛「キタウシリ」をはじめ、こだわりの牛肉を提供しております。
(「キタウシリ」:商標登録第5992528号、商標登録第6043876号)
同会は、これまで「チクレン」という名称と「赤身の肉」ということを全面に押し出してこられましたが、霜降り肉に比べると高級感を伝えにくい赤身の牛肉の良さをより広く知ってもらい、安定的な生産・販売を目指すため、ブランド化を考えられました。このことを取引先の金融機関に相談されたところ、知財総合支援窓口の紹介を受けました。
同会は、赤身の牛肉のブランド化のために、新たなブランド名とロゴマークの作成を検討されていましたが、自分たちでは商品に対する思いが強すぎることから、客観的な考え方ができないのではないかと懸念されていました。そこで、知財総合支援窓口ではデザイナーを派遣して、商品への思いを消費者に伝えるためのブランド制作のプロセスとブランド育成の重要性についてアドバイスをしました。
ネーミングやデザイン案が決まってきた段階で、商標権によるブランドの保護と活用方法についても提案をさせていただきました。当初の商品は食肉でしたが、お話をお聞かせいただくと、今後も幅広い展開が考えられるとのことでした。同会やグループ企業である株式会社北海道チクレンミートが使用する商標の指定商品の選択や今後の展開に適した商標の態様については、弁理士を派遣しアドバイスをしました。
デザインや商標権は商品表示や保護だけではない様々な機能を持ち、ブランド力の向上にも役立つことを知っていただきました。現在「キタウシリ」ブランドは小売店販売やパンフレットに活用され、販売量や収益に明らかな効果を生んでいます。また販促用のジャケットデザインなどに利用され社内の意識向上にも役立っています。
ブランドというと一言ではありますが、その中には、ネーミング、デザイン、商標権などが組み合わされてできており、それぞれが役割を発揮してブランドができることが分かりました。知財総合支援窓口に相談することで、ネーミングの作成から商標権の登録などをスムーズに進めることができました。今後は、デザインや商標権を活用して「キタウシリ」のブランド価値を高めていきたいと考えています。
同会は、安全・安心を徹底的に追求された商品を提供されているとともに、商品に対する深い思いをお持ちです。その思いを込めたオリジナルブランド「キタウシリ」を立ち上げられ、現在、積極的に使用されています。今後も、様々な展開の場面においてデザインや商標権に支えられたブランドを育てていただければ嬉しく思います。 (山内 陽子)
牛肉のブランド構築支援(708.9 KB)
掲載年月日:2018年2月22日
更新年月日:2023年1月25日