当所代表は、長年にわたり包装を中心とする研究開発・商品設計・品質保証業務に携わってきました。これらの経験を活かして技術士(経営工学部門、包装及び物流)の資格を取得し、1998年7月に技術士事務所を開設、起業しました。包装技術は、プラスチック、金属、ガラス、紙などやこれらの材質の表面加工技術の印刷、転写、着色、金属やセラミック蒸着など幅広い知識・品質管理・業務経験などが必要ですが、現在、これらの知識や経験を活かして企業支援や製品開発などに取り組むとともに、発明品(紅などの繰出容器)を製品化するために関心のある企業に営業活動中です。
当所は、便利で使いやすい容器は市場でヒットすることが多い、との長年の経験を踏まえて、使用時の繰出操作で蓋が自動開閉する便利な繰出し容器の開発に取り組み、キャップレス口紅繰出容器を開発し、特許第5843410号を取得しました。このキャップレス口紅繰出容器は、従来から市販されている、使用する度に蓋脱着が必要な繰出容器と異なり、容器の下部を回転することで蓋が自動開閉する構造であり、現在、企業に売り込みをかけ、製品化を目指しているところです。
特許を取得したキャップレス口紅繰出容器は、従来容器と同じ操作で、蓋が自動開閉し、同時に口紅が出入する便利な繰出容器です。特徴は以下の通りです。
①利便性:従来の繰出容器と同じ操作で蓋が開閉する便利でユニークな容器で、使用時に違和感が無い。
②蓋は自動開閉:使用する度に、蓋脱着が不要で、蓋紛失するおそれがない。開閉時に蓋が口紅を傷付けることもない。
③ユニバーサルデザイン(UD)である: 長年、消費者が使い慣れた繰出容器と基本構造が同じで、使用時の操作も同じで、誰でも使いこなすことが出来る。
④汎用性:各種の繰出容器として、口紅以外にも印鑑、消しゴムなどの文房具などに広く応用できる。
同所は、従来の口紅繰出容器を基本構造にして、中味の口紅をこれまでと同じ操作の繰出す・繰戻す操作を行うことにより、口紅が出入りし、同時に、蓋が自動開閉する構造のキャップレス繰出容器を考え、特許出願の相談に来られたのが最初です。
上記、使用時に蓋脱着が不要となる便利な口紅操出容器相談を受け、当該発明の特許出願に向けて、各種書類の作成を支援いたしました。その後、当該発明は特許査定を受け、無事登録となりました(特許第5211286号)。
同所は、特許出願後、試作品作成や売込に取り組む過程において、取り組むべき課題(例:契約書の作成の相談など)についても相談に来られました。また、特許を取得した口紅繰出容器とは別の構造の繰出容器についても着想し、これらの出願、審査請求後の拒絶理由通知に対する対応、さらには国際出願としてPCTの電子出願の実施など、繰出容器の構造に係る権利化について幅広く支援いたしました。また、併せて関連企業へのビジネス展開の図り方などについても助言いたしました。
同所は、特許の権利化を図るため、特許請求の範囲のとらえ方などの権利化するために必要な知財の知識を窓口での相談で身に付けたことで、新たな、より便利な開発品の試作過程において、発明品の改良出願の必要性などについて気づかれるなど、より権利範囲の広い特許の取得方法についての姿勢を身に付けられたものと思います。
窓口では、出願関連の文書の作製時の助言は勿論、必要に応じて弁理士や弁護士を派遣し、ともに支援していだきました。身近にあり、知財経験が豊富な特許専門家と気軽に連絡・相談することが出来る窓口とのコミュニケーションを大切にすることを奨めます。
同所は特定構造の繰出容器に特化して、権利化し、化粧品業界に売り込み、商品化に熱意を持っています。特許の拒絶理由に対しても専門家の助言を受け、適切な補正や意見書の作成を通じて特許の権利化に成功しています。熱意があって、やればできる典型だろうと思っています。 (広島 政広)
自動開閉蓋付き容器(375.6 KB)
掲載年月日:2018年3月19日