当社は、兵庫県豊岡市を拠点として但馬地域を中心とする兵庫北部・京都府北部・鳥取市街の建築工事・土木工事を事業内容としています。主に、コンクリート型枠工事を主体としながら改修・耐震・2×4工事に加え、コンクリート構造物の構造設計業務も行っています。
経験豊かな実績と信頼できる高い技術力により顧客のニーズにお応えすると共に、地域環境保全・地産地消という視点から建設業を通して地域社会に貢献し必要不可欠な会社になることを目指しております。
戦後70年が経ち、建設業界が様変わりする中、当社の主な事業であるコンクリート型枠工事においてもゼネコン主導の施工から専門工事業者による施工に変わりつつあり、当社も提案型専門工事業者への脱皮に鋭意努力をしています。
その一つとして、コンクリート用木製型枠工事の効率化・低コスト化のための新技術を開発し、また使わなくなった木製型枠のセメント製造用燃料としてのリサイクル事業にも取り組み始めました。更に、環境をテーマに地域における間伐材の型枠材への有効利用技術の開発に取り組んでいます。
その他、コンクリート構造物の構造設計業務においては豊富な実績により積み重ねられた高い技術力を保有しています。
今後、コンクリート構造物では鉄骨構造やプレキャストコンクリート製品の利用が増加すると推測されますが、建築物の基礎、建築物の低層階部や低層階建築物の躯体は依然コンクリート施工と考えられることから、型枠工事の効率化と低コスト化が実現できる新技術を開発しました。コンクリート構造物の構造図から型枠材切断・加工データを作成し、このデータに基づき各型枠材の寸法に自動で切断・加工できる「型枠材自動カットシステム」の開発により、型枠材加工作業がコンクリート施工現場ではなく工場で可能となり、型枠材加工の効率化と低コスト化が可能となります。
同社が開発に取り組んでいる「型枠材自動カットシステム」は、既存の技術の組み合わせで特許権の取得に必要な新規性、進歩性の主張が難しいと考えて権利化保護を当初断念していましたが、公益財団法人新産業創造研究機構と技術支援協定を締結している但馬銀行の担当者が知財総合支援窓口に相談するよう提案し、同銀行の担当者と共に当窓口に来られました。
窓口では、「型枠材自動カットシステム」の技術内容、構成、特徴を整理したところ、本システムの新規性、進歩性の確保が課題であるとコメントし、これらを明確にするにはJ-PlatPatを用いた先行技術調査を行うことが必要であると説明しました。先ず、J-PlatPatを用いた先行技術調査方法を説明した上で、知財専門家(弁理士)による詳細なアドバイス等を行いました。
同社は、数回にわたる知財専門家の支援を受けて先行技術調査を行った結果、ようやくビジネス関連発明の特許として本システムを出願するならば、新規性、進歩性を主張できることに気付き、知財専門家(弁理士)の権利化可能性に関するコメントもあり、特許出願を行うことになりました。
同社は、引き続き取引銀行のアドバイスを受け、登録後の特許を活用した同社の強みのアピール方法を検討すると共に、更に商標登録出願によるブランド化、出願権利化では保護できない技術ノウハウの知財保護の重要性に気付き、現在は、INPIT知財戦略アドバイザーの支援を得て営業秘密管理に関する社員教育、営業秘密管理規程の作成に取り組んでいます。
知財の初心者として知財総合支援窓口を初めて利用しましたが、知財に関する情報を親切丁寧に提供していただくと共に、知財の経営における重要性に気付かされ、今では、出願権利化による保護だけではなく、技術ノウハウ等営業秘密の管理についても取り組んでいます。知財総合支援窓口は、初心者でも気軽に利用できる窓口です。知財相談は、ぜひ知財総合支援窓口の利用をお勧めします。
ご相談のあった「型枠材自動カットシステム」の知財保護支援は、知財専門家との協働支援とはいえ大変でしたが、同社が知財について徐々に理解を深められ興味を示されて、同社の組織的知財力の強化に現在取り組んでいます。本システムの事業化を通して知財活用ができる企業として大きく成長されることを期待しております。 (熊谷 親徳)
木製コンクリート型枠材の自動カッティング技術の知財保護(423.7 KB)
掲載年月日:2018年4月19日