窓口支援事例
特定非営利活動法人鋼構造物塗膜処理等研究会
特許契約・法務事業・経営

公共インフラ整備を知財でバックアップ

企業情報

所在地
北海道札幌市
ホームページ URL
http://www.sps-hokkaido.org/
設立年
2007年
業 種
技術サービス業
従業員数
会員20人
資本金
-

企業概要

 当会は、平成19年5月に、①鋼構造物の防錆防食技術に関する調査研究およびコンサルタント、②鋼構造物の旧塗膜の評価分析および処理方法に関するコンサルタントを主業務とし、土木建築業界の発展、環境保全技術の継承等、社会貢献を目的に設立されました。
 鋼製橋梁は、昭和初期より道路網の発展に伴って北海道内でも数多く建設されてきました。これらには、当時の防錆防食技術を結集して、特に経済性を考慮して防錆のための塗装系が採用されています。健全な鋼構造物として橋梁を維持していくためには、適切な時期に補修、特に防錆のための再塗装が必要で、最近の公共インフラ(鋼構造物)の老朽化対策としても重要となっています。近年、旧塗装膜中(塗膜)には鉛、クロム、PCB等の有害物質が含まれる場合があることが明らかとなり、そのため塗替え作業時は周辺環境への汚染防止と作業者の安全を考慮するよう義務づけられています。

自社の強み

 当会は、1、2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)、橋梁塗装1級技能士、統括安全衛生責任者、職業訓練指導員等の有資格者と、防錆塗装分野において現場での経験も豊富な会員が多く在籍し、そのため多くの技術的ノウハウと現場作業員への高い指導能力を有しています。近年、道路管理者様や建設コンサルタント会社様より、橋梁の塗替塗装計画作成の際に当会へ相談頂くケースが多く、当会では実作業前の現地調査、当会が標準化した旧塗膜中有害物質の有無判定技術等によって協力してきました。

一押し商品

 旧塗膜中有害物質の有無判定に使用する「塗膜採取用具」(特許第6586673号)は、現場作業性と安全性を配慮したもので、これを使用した「ECO-SCOP工法」も商標登録しています(商標登録第5734488号)。さらに、同工法は国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)への登録も完了したことで、橋梁補修等における工期短縮・経費節減・環境汚染防止が可能となり、現時点で道内外約3,500箇所程度の実績を有しています。



知財総合支援窓口活用の概要(記:窓口担当者)

窓口活用のきっかけ

 当初、同会の理事長であった相談者は、「塗膜採取用具」の開発で試行錯誤している中で、同会ホームページに掲載した「塗膜採取」現場写真の無断転用と工法の模倣記載が他社ホームページ上で見受けられるようになり、同会オリジナルの技術を知財として権利化する必要性を感じ、北海道立総合研究機構と中小企業基盤整備機構北海道本部に相談したところ当窓口を紹介され、来所されました。

最初の相談概要

 相談者は、ご自身で特許出願書類を作成され、その出願手続きの相談のため当窓口に来所されました。窓口では、出願書類のチェックの他、専門家(弁理士)からアドバイスを行い、出願に向けて支援を行いました。特許出願後は、審査請求の意向があったことから、INPITの特許情報分析活用支援事業(審査請求段階)の活用をアドバイスするとともに、減免制度の紹介も行いました。

その後の相談概要

 「塗膜採取用具」を用いた「ECO-SCOP工法」(ecological- safety collection for painting filmの略)の商標登録出願について相談があり、当窓口支援を経て無事登録されました。さらに、今後の事業展開として、「塗膜採取用具」と「ECO-SCOP工法」、すなわち特許技術と商標の使用に関するライセンス契約と侵害対策についても検討する必要性が生じてきたとのことで、これらについて専門家(弁護士)を交えて支援しました。また、事業を効率良く運営するに当たって、NPO法人は塗膜採取事業を担当し、道内外に知財の管理方法、本技術の支援、採取用具等の提供については相談者が起業した防食塗装研究所*が担うこととなり、その際の知的財産の移転に関しても、当窓口でアドバイスを行いました。
*防食塗装研究所(http://eco-scop.jp

窓口を活用して変わったところ

 相談者は知財活用経験があまりないとのことでしたが、今回の支援を通じて知財の重要性を再認識されました。最近、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)への登録も完了したことで、本州からの引き合いも多く、そのため今後は道内外からの技術指導の依頼対応、資材の提供・作業ノウハウの指導等、コンサルタント業務として、NPO法人と協力して事業展開を図りたいとの意向があります。


企業からのメッセージ

 このたび知財総合支援窓口の支援を受けたことで、知財に取り組む重要性や経営に活かすことの効果を実感することができました。新規の技術開発による事業展開を考えている場合には、早い段階で知財に係わる事業戦略を練る必要があり、相談先の一つとして知財総合支援窓口を活用されることをお勧めします。

窓口担当者から一言

 相談者が考案した技術とビジネスモデルを知財として位置づけ、新規事業の立ち上げに成功した好例です。特許による技術の権利化、商標登録による営業活動の促進を図るとともに、直近では経営課題の整理のために派遣専門家(中小企業診断士)による支援を実施する計画となっています。今後とも知財を活用した事業展開をサポートしていきたいと考えております。 (浅岡 正光)

公共インフラ整備を知財でバックアップ(390.6 KB)

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掲載年月日:2018年5月 9日

更新年月日:2020年8月25日

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