当社は、社長が大手自動車メーカーの子会社に約10年間勤務した後、オートバイの修理・カスタムを目的として津市で個人創業し、取引先が多かった松阪市に移転して平成17年1月に法人に改組しました。事業はユーザーからの修理・カスタム依頼が60%で、販売店などからの修理依頼が40%となっています。その他、家庭用品等の開発・販売を行っており、多くの受注実績もあります。
当社は、オートバイに関する知識や技術力が蓄積しているため、ユーザーが要望する形状や強度に合わせて加工する技術を持ち合わせています。また、3D加工機・汎用旋盤によりカスタム部品や販売中止部品の代替部品を製作できることが自社の強みです。
また、独自アイデアを形にできることも強みで、写真の商品はTV番組やや新聞で紹介され、4000個ほどを販売した家庭用品です。
当社は、平成28年後半からオートバイに使用されるフロントフォークのオイルシール交換工具を開発し、知財総合支援窓口の支援を受けて特許を2件取得(特許第6209760号、特許第6209761号)することができました。平成30年中に販売予定です。この商品は、オイルシールの交換の際に必要だったフロントフォークの分解を不要とできるもので、油脂類の交換や洗浄が簡易になり、作業負担を大幅に軽減するものです。また、四輪自動車の部品交換にも適用可能で、同業からも関心を寄せられています。
同社は、技術的アイデアを形にするのに興味をもっておられ、特許情報の研修会を開催した際に参加されたことが窓口活用のきっかけでした。自分のアイデアに近い文献が容易に見られるデータベース(現 J-PlatPat)に興味を持たれ、率先して窓口を活用されるようになりました。特許調査の検索精度も高く、類似の特許文献を抽出し、自己アイデアとの対比についても検討されていました。
特許出願中の内容に係わる商品の製作にあたり、市場の動向をみたうえで審査請求しようと考えているとのことで、その時期の検討等についてご相談をいただきました。
当窓口の知財専門家相談会のアドバイスを基に自社で特許調査を実施し、類似特許文献を持参され、特許性の有無について相談されました。
また、将来の展望を踏まえて、早期審査制度や減免制度も紹介し活用されています。
同社は自社で特許調査を実施後、類似文献との差異を見出し、出願書類の作成まで出来る知財知識を備えられました。また拒絶理由通知に対しても自社で対応を考えられた後、当窓口の専門家へ相談し、対応を図られています。
当初は知財総合支援窓口に対し、どこまで支援してくれるのか不安も有りましたが、窓口担当者の丁寧な対応と、企業が欲している要望等に的確にアドバイスしてくれたことで、理解を深めることができました。また、費用面でも様々な支援制度があることを知り大変役に立ちました(特許3件、商標2件取得)。他の企業様も自社で困っていること等を気軽に相談できる知財総合支援窓口を大いに活用されることをお勧めします。
同社は、自らのアイデアに関し、現状課題を的確に捉え、その対応策のアイデアを試作、製造し、商品化に結び付けられています。特許出願に際しても、自ら先行技術調査、類似技術を抽出、対比検討し、支援窓口及び当窓口の専門家を活用して、出願明細書を作成され特許を取得されています。一押し商品は同業者からも関心を持たれており、この商品を基に新事業化に向けて展開することを期待するところです。 (長峰 隆)
オイルシール取り外し装置(151.1 KB)
掲載年月日:2018年7月 4日