当社は、建築及びインテリアのデザイン及び設計監理を行う小規模アトリエ系事務所です。家具、サイン等も含め、総合的に空間演出を行っています。
新規事業にて、自社開発した組立式家具を強化段ボールにてデザインし、特許及び意匠、実用新案登録等行いライセンス展開を行っています。
長年の建築技術士としての経験に基づく当社の建築技術力とデザイン力から生まれた、強化段ボールによる簡易組立式家具の種類は10種を超え、それぞれに特許、実用新案、意匠登録を取得しています。
組立の簡易さを追求し、ビス、接着剤、道具を使わずに組立てを行う、構造のシンプルさを極限までに追求した、美しい家具類です。
強化段ボールによる簡易組み立て式家具の中でも、「組立式家具及び組立式家具の製造方法」として特許取得(特許第5931269 号)しているマキチェアーは、強化段ボールの一枚板を山折と谷折のそれぞれ逆の方向に折り曲げ、三角形状を二つ合わせた形の椅子で、内部に強度を引受ける二つに分割された補強板を2枚差込む構造となっており、組立解体可能な軽くて丈夫な椅子です。
また、「Danbaul×Style」については、ブランド名として商標登録も済ませています(商標登録第5985138号)。
同社が段ボールを使った組立式家具を考案された際に、段ボール材を折り曲げ、簡易的な家具を形成するといった、そんな方法が果たして特許として認められ登録になるのかどうか、また登録するにはどのような手続が必要なのかを相談するために、知財総合支援窓口を訪問されました。
同社が考案された組立式家具の権利化を検討するためには、新規性・進歩性等の要件を満たす必要があるため、それを明確にするために発明の内容を整理するとともに、先行技術があるかどうかを特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で調査するよう提案しました。そのうえで、特許性があるかどうかの判断にあたっては、当窓口専門家の弁理士への個別相談を勧めました。
特許出願された案件に類似する製品、関連の製品については、意匠登録出願、実用新案登録出願を自社で手続きしたいとのことから、電子出願手続きの指導を行い登録となりました。その後、展示会出展をきっかけに問合せが多かったことから、知財戦略に詳しい専門家によるブランディング支援を行いました。また、組立式家具のブランド名・ロゴについても、商標登録出願され登録となりました。強化段ボール素材メーカー関連会社との業務提携が実現し海外展開の話があったことから、INPIT 海外知財プロデューサー、国際商標の専門家(弁理士)を派遣し、国際商標登録出願の支援を行いました。現在、提携会社による海外展開における同社のスタンス等につき知財戦略に詳しい専門家のアドバイスを受け進められています。
国内における特許や実用新案、意匠権だけでは必ずしも十分では無いことを理解いただきました。強化段ボール製の椅子の座面に畳表を利用した作品をデザインコンペに出展し賞を獲得するなど、作者の著作物としての知名度アップを心掛けるようにされています。また、「Danbaul×Style」として商標登録されている一連の作品は、独自の複数の共通点を持ちながら展開するようにされています。
当社では、ものをデザインしたり創ったりすることは出来ても、その権利を守り事業として展開して行くことは経験がなく、「分からない」の連続でした。知財窓口からは、弁理士さん、弁護士さん、そして知財活用コンサルタントの先生、海外展開専門の先生等、多くの専門家からのアドバイスをいただくことができました。感謝。悩んでいても始まらないので、先ずは知財窓口へ相談するのがベストです。
強化段ボールによる組立式簡易家具ということですが、建築デザイナーである社長の思いの詰まった製品です。いろいろな場面で利用できる製品と感じています。強化段ボール素材メーカー関連会社との業務提携が実現したことで今後の展開に大きな期待を寄せるとともに、引き続き支援を行っていく予定です。 (市丸 美津子)
強化ダンボール製組立式家具の知財戦略支援(367.6 KB)
掲載年月日:2018年7月26日
更新年月日:2021年8月 5日