当方は、徳島県川端地区で50年ほど前から続く桃農家です。60アールの園地で約130本の桃を栽培しています。
「店頭に並ぶのは形が良く傷の無いもの。収穫時に完熟で出荷できない桃が一番おいしいのに」との思いから、ジャムの加工販売を始めました。 自家産や知り合いの農家が作った果物を使って桃、スダチ、イチゴ、梅かつおの他、季節限定商品も全て 100%徳島産のジャムを製造しています。収穫期の7月には3日間の桃狩りを開催し園地を開放しています。自分で収穫した桃や冷やした桃を好きなだけ食べ放題で、帰りにはお土産の桃パックも差し上げています。また、平成30年7月2日、ジャムなどの販売店と桃カフェの喫茶店(店名:ピーチナカフェ)をオープンし、期間限定(7月~8月中旬)で生桃のデザートを提供し、好評を得ています。
当社のジャムは、「手作り」にこだわっています。果物の形をそのまま残す「プレザーブスタイル」なので、果肉がたっぷり入っています。また、全て手作りで、じっくりコトコト煮詰めて凝固剤を使わず作っているので、無添加、無着色の手作りジャムをお届けすることができます。原材料は、果物以外に、糖類(てんさい糖)、レモン果汁と至ってシンプルです。このようなジャムなので、まるで果物をそのまま食べているようです。無添加なので、お子様も安心して食べられます。
収穫した桃を箱詰めにして出荷する際のパッケージを、右写真の図柄としました。この「ひなたまる」は、商標権を取得しています。
(商標登録第6032514号)
店名のピーチナカフェも、商標登録されています。(商標登録第6138553号)
昨年5月、臨時相談窓口で開催した弁理士相談会にて、徳島県よろず支援拠点のコーディネーター及びとくしま産業振興機構の創業コーディネーターから相談者を紹介され、商標登録出願の相談を受けました。
相談者は、地域の組合に収穫した桃を納めていましたが、独自で桃を販売することとなり、「ひなたまる」の商品名を箱に付けて、桃を販売する計画としました。この商標名の商標登録出願の相談が最初の相談でした。また、出荷する箱のパッケージデザインについても、製作を検討していましたので、当窓口のデザイナーの専門家派遣制度を紹介しました。
相談者は、出荷できない成熟しすぎた桃や形の悪い桃など、周辺の桃農園の収穫物も含め6次産業化を進め、ジャムを販売していました。また、桃を使ったアイスクリームの開発も行い、これらも桃と一緒に独自に販売することを計画しました。
商標登録出願の支援を終えた後、桃のパッケージデザインの作成支援をすることとなり、当窓口の果実に詳しいデザイナー専門家を交えることで、徳島県産の白い桃のパッケージデザインの作成支援を行うことができました。収穫した桃は、国内以外にマレーシア向けにも販売を開始し、リピート出荷があるなど好評を得ています。
収穫した桃のブランド名を商標登録することができ、独自に販売を開始するブランドの確立への一歩を踏み出すことができました。また、桃に対する相談者の思いやメッセージを、専門家のデザイナーに短期間で引き出してもらうなど、知財総合支援窓口の専門家を有効に活用することができました。これらの結果、新規事業をスムースに開始するための手助けを行うことができました。
当初、とくしま産業振興機構の創業コーディネーターを訪ね、相談をしていた際に桃の商品名を命名する必要があることがわかり、知財総合支援窓口を紹介してもらいました。新規事業を始めることは大変なことですが、たくさんの方たちの支援により販売を開始することができました。創業などの際に、窓口を活用することで最初の一歩を踏み出すことができるかもしれません。
最初に相談者に会ったのが桃の選定時期の5月で、7月頃の収穫期にデザイナーと相談者の果樹園を訪問し、桃の出荷作業の様子を見ることができました。今回の支援では、スーパーの陳列棚で見た桃とは違った、様々な表情の桃に出会うことができました。 (井上 修)
桃農園より6次化産業を推進した支援(239.3 KB)
掲載年月日:2018年7月31日
更新年月日:2021年8月11日