大手の教育サービス業の会社に社長の佐藤が11 年、副社長の井河澤が13年従事してきた中で、少子化と言われているなかでも生徒数を増やしてきている学習塾や教室の存在を社内外で見てきました。しかし、学習塾という無形のサービスを提供するサービス業において属人的になりがちな背景があり、生徒数を増やしている教室にさえも違和感を覚えていました。特に室長の進路指導や学習プランニングの質、講師の教務力や学習指導の質、顧客対象が子供であるということからの甘えによる環境の品質の低さ、そういった状況に見合わない対価の高さを感じ続け、同時にそこにビジネスチャンスを見出し、2015 年に千葉県内で起業しました。現在、6教室を運営しています。
2021年より学習塾の感染症対策を始め、それをきっかけとして現在は学習塾の運営の他、ナノダイヤモンド触媒の施工と、次世代インテリアグリーン販売事業を展開中です。
小学生に対しては個別指導と基礎学力向上に特化したアフタースクールサービスのブランドを有しており、中学生に対しては、個別指導だけでなく集団授業での国語・理科・社会の授業も提供できる高校受験における公立入試全教科を責任持って対応できるハイブリッド型のシステムを持ち、高校生に対しては大学進学に特化した予備校もブランドとして有しています。
上記のように、小学生・中学生・高校生の成績向上・志望校合格に絶対の自信を持つハイクオリティさを謳っていますが、プライシングにおいても個別指導塾業界内において最安に近い設定にしており、「ハイクオリティな授業をロープライスで提供できること」も大きな強みであると考えます。
生徒の個々の学力(教科ごと)に合わせた個別テキストである「正答率別精選問題集」を独自ロジックにより開発しました。高校受験に向けて4教科(英語、数学、理科、社会)×5段階学力レベルのテキストで、毎回の個別指導授業と家庭学習・自習室で活用し、学力を向上させる独自メソッドを持っており、補習がメインとなる他の個別指導塾との大きな差別化を図っています。
創業時から使用していた同社の塾名について、他社から警告を受け、千葉県よろず支援拠点に相談したところ、知財総合支援窓口の紹介を受けられました。
千葉県よろず支援拠点の担当者より、知財総合支援窓口との連携支援を提案いただき、両輪で支援しました。知財総合支援窓口では、弁護士・弁理士を派遣してアドバイスを行った結果、相談者は塾名称の変更を決断し、新たな塾名称について商標登録を出願する事となりました。同社はこれを受け、2件の商標登録出願を行い、登録後に塾の看板を架け替えました。
商標を自社出願した後、上述の「正答率別精選問題集」について、特許出願の相談がありました。特許調査の支援を行い、相談者が検討した結果、特許性がある事が分かり特許出願をする事に決めました。その出願費用については、公益財団法人千葉市産業振興財団の特許出願補助金を紹介し、申し込みを勧めました。その後同社は採択され、補助金を活用して弁理士に依頼し、特許出願できました。
塾名称のトラブルから知財の重要性に気づき、受験生のレベルアップに向けて工夫して作ったオリジナル問題集である「正答率別精選問題集」を特許で守る等、自社のオリジナリティを知財で守る意識を持つようになりました。
知的財産の権利化には、労力や費用が掛かるイメージを持っており、積極的に取得する必要性を感じていませんでしたが、変更した塾名称の商標登録出願をきっかけに知的財産に関することを勉強するにつれ、まだ人手や資金などの経営資源が多くない中小企業こそ、どの知的財産について権利を取得すれば競争力を確保でき、企業利益に結び付くかを考えるべきだと思いました。各企業においても知的財産権制度をしっかりと理解し、戦略的に知的財産権を取得・活用していくことが大切だと思います。
相談者が熱心であり、また、決断が速い為スムースな支援ができました。
トラブルを乗り越え、オリジナル問題集を開発した経験を活かし、さらなる工夫を進めることで特色のある塾として成長していくものと信じています。
(木内 正佳)
商標侵害警告から知的財産の重要性を認識(317.0 KB)
掲載年月日:2018年8月17日
更新年月日:2023年8月 3日