当社は、1952年の創業以来、「より良く」、「より早く」、「より安く」をモットーに、製糖プラントを主とする大型機械のメンテナンスおよび土木鋼構造物の製作を行い、信頼のおける品質で製品・サービスを提供してまいりました。2010年より、新たに環境・エネルギー分野の新規事業を開始し、高性能バイオマスバーナーの開発、商品化を行いながら、地球温暖化の防止・循環型社会の形成・地域活性化への貢献を目指しています。
当社の強みは、長年の豊富な経験に基づく、製糖プラントなどの大型機械における安定性・信頼性の高いメンテナンス技術と土木鋼構造物現場での豊富な経験・知見を活かした設計製造技術を有する少数精鋭の技術集団であることと、さらに環境・エネルギー室の新設とこれを担う新規人材登用したことにあると考えています。この他、研究機関等との共同開発、人材交流にも積極的にも取り組んでおり、一押し商品の小型バイオマスバーナーユニットは、これら技術集団と職場のものづくり環境があってこそ生まれた商品であると考えています。
当社一押し商品の小型バイオマスバーナーユニット(TKD-SBU03)は、独自に開発した回転炉燃焼技術(特許6822653号)により、従来のバイオマスバーナーでは扱えなかった、灰分を多く含む農業廃棄物燃料を、燃焼灰の自動排出とクリンカーの成長を抑制することで、持続的かつ安定した燃焼を実現しています。さらに、小型・ユニット化することで移動性の向上、用途の多様化を図っています。このバーナーユニットを用いることで、農業用ハウスへの温風供給によるエネルギーの地産地消が可能となり、循環型環境保全に寄与できると期待しています。
令和3年10月 北海道地方発明表彰中小企業庁長官賞
令和5年2月 ものづくり日本大賞ものづくり地域貢献賞
同社は、地方独立行政法人北海道立総合研究機構の「農業用廃プラスチックの再利用に関する研究」プロジェクト事業に参画し、同機構・工業試験場と共にペレットボイラーの開発を進めていました。同工業試験場の職員から知財総合支援窓口に、「プロジェクト参画企業において、特許で権利化できそうな燃焼技術があるので、同社の相談に応じて欲しい」旨の依頼があり、同社を訪問しました。
最初のヒアリングで、同社は既に単独で燃焼技術を確立していることが判明したため、早期の特許出願に向けて先行技術調査のための特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)による検索指導を行い、さらに二度の試作機の改良ごとに派遣専門家(弁理士)による相談対応も行い、最初の訪問からおよそ10ケ月後に特許出願に至りました。
その後、汎用性の高い小型バイオマスボイラーの事業化に向けて環境・エネルギー室を新設し、新たに有識者を室長に迎え、新体制のもと開発をスタートさせました。窓口では、あらためて室長を介して支援することとなり、室長に対するJ-PlatPat 検索指導や専門家(中小企業診断士)による事業計画書の作成支援を行いました。さらに、大手企業から引き合いのあった同ボイラーのレンタル契約に専門家(弁護士)を派遣してアドバイスを行いました。
同社は当初、地方独立行政法人北海道立総合研究機構から持ち前の技術力が認められ、共同でペレットボイラーの開発に取り組んで来ましたが、これまで商品化には至りませんでした。今回、窓口の活用によって、特許を出願し、新室長のリーダーシップの下、小型バイオマスボイラーの商品化や同ボイラーの事業計画書(知財戦略)を作成するなど、燃焼器メーカとしての地位を築きつつあります。
当社のバイオマス燃焼機製造販売という新規事業に対して、当初は特許出願に関する相談から始まりましたが、その他専門家派遣による事業戦略作成や契約関係アドバイスは、非常に有効なものでした。そのおかげもあり、次のような評価や実績を残すことにつながっています。
・経済産業省「はばたく中小企業・小規模事業者300 社」2018 選出
・小型バイオマスバーナー専用ウェブサイト(https://recycbarner.jimdofree.com/)開設
・導入実績:キノコ廃菌床用ペレットバーナー 2台販売、小麦クズ燃焼用小型バイオマスバーナーユニット 1台販売
支援を始めてから、5 年半の長き期間を迎えようとしていますが、ようやく成果事例にまとめることができました。これは、長らくお付き合いいただいた室長の豊かな発想とたゆまぬ努力に負うところが多く、成功に導くには、何と言っても「人」なんだと実感しているところです。 (富田 和彦)
バイオマスバーナーで環境・エネルギー分野に新たな活路を(430.3 KB)
掲載年月日:2018年10月16日
更新年月日:2023年8月10日