当社は創業以来、一貫してプレス金型に関する事業に専念して参りました。この間、設計はもちろん関連製品の開発および技術開発にも力を入れ業務を展開し、今日に至っております。
特に、2004 年に開発したパイプ状部品の横穴(クロス穴)加工の内面バリなし工法を考案し、国内外で特許出願し登録されました。この工法はパイプ内側からプレスパンチングするという、内面にバリを発生させない画期的な工法・装置として業界内外から注目され実用化に至っております。
このように設計者が設計業務のみにとらわれず、自らものつくりを考えることをモットーに日々研鑽しております。
精密プレス金型の設計および関連装置等の技術開発を行う当社は、基本的に製造等はすべて協力工場に依頼している技術開発型企業です。金型や製品の目的に見合ったスペックを達成する為、あらゆるネットワークを駆使して最適な設備・技術をもった工場を選定し、ご協力頂いておりますので、フットワークが軽くフレキシブルで迅速な対応が可能です。また、自社商品の開発にも積極的に取り組み、特に日々の業務からヒントを得て開発した「シートゲージ」はあらゆる研究開発、品質管理分野で利用されております。
当社の一押しは、NIPPSR加工技術(中空部品内面バリなし交差穴プレス加工技術)です。従来、小径の中空部品に横(クロス)穴をあけた際に発生する“内面バリ”除去は悩みの種でした。そこで、当社では内面のバリを除去するのではなく「内面にバリを出さない」という発想から“中空部品の内面にバリが出ない”独自の穴あけ工法、装置を考案し実用化しています。すでに国内外において特許権を取得し、従来工法(切削や放電等)では必要不可欠であったバリ取り作業や加工時間などを大幅に削減し、品質向上とコストダウンを可能としました。この工法は横穴をパイプの内径側からプレスパンチで打ち抜く為、内面にバリが発生しない画期的な工法として自動車のエンジン、ブレーキ等の重要保安部品等に採用され累計生産実績 8,000 万個を超えております。今日では他産業分野でも採用され注目頂いております。
今回、長野県よろず支援拠点の紹介で、保有されている特許権を中心に、知的財産の活用方法についての相談がよせられました。
相談では、特許以外の知的財産を活用して、相談者様の技術の周知、保護の重要性について説明しました。
①特許技術を補完するノウハウ管理の重要性
②特有の技術に「NIPPS 加工技術」とネーミングし、カタログ等に掲載していたが、商標登録をしていないので、登録の必要性
その後、特許技術の活用方法および商標登録出願について専門家(弁理士)の支援を行いました。
①保有特許権活用のための戦略、具体的には周辺技術の特許出願、ノウハウ管理方法等について
②特許侵害に対する特許管理、権利行使について
③NIPPS 加工技術のネーミングの商標登録要件、出願手続について
以前から特許による技術の保護の重要性は認識されていましたが、商標も活用することにより、お客様に技術の名称及び特徴を理解してもらうことに繋がるため、その必要性を認識して頂きました。 開発した NIPPS 加工技術について、特許、商標を活用しながら事業を発展させるために、知財活用策を検討した後、事業を行うという考えに変わってきました。
開発した商品、技術を保護し、お客様への情報発信のために特許、商標等の知的財産をホームページやカタログ等に活用することが重要であると認識しました。今後も、高機能性食品原材料の用途開発を進め、お客様への情報発信、権利保護のため、知的財産を活用したいと考えています。皆さんも仕事の上で開発した商品、技術を発信し、守るため、知財総合支援窓口の活用をお勧めします。
管の直径方向に穴を空ける際にバリが出ない技術に非常に感銘を受けました。この技術は応用が広く、医療用部品、航空・宇宙分野の加工等、波及効果が高いと思います。開発した商品、技術を世の中に発信し、また、他者からの模倣を防止するため、特許、商標等の知的財産を活用することが重要です。何か新しい商品、技術を開発し場合、新たな商品等の名称を決めた場合は、まず、知財総合支援窓口にご相談下さい。 (山崎 雅彦)
中空部品内面バリ無し穴プレス加工技術の知財保護(194.2 KB)
掲載年月日:2018年12月17日