当社は、様々なゴム材料(シリコン及び合成ゴム)を用いて、「機能性ゴム部品」の製造を行っております。
具体的には、最新の真空成型プレス機を使用し、高品質なプレス成型品・金属との加硫接着製品などの製造を得意としております。ロット数も、小ロットから量産品まで対応し、24 時間生産稼働する体制をとっております。
当社は、製造受託及び物流事業として、お客様の製品開発支援・試作品生産・完成品の物流一括支援業務も行っており、いつでもお客様が安心して業務をお任せいただけるような事業体制をとっております。
○プレス成型の強み
当社では、真空直圧成形(コンプレッション)で製造を行います。従来品より非常に高い品質を満たすようになり、結果、安価な製品を提供できます。また、24 時間稼働していることも価格メリットの大きな理由です。
○組立・加工
ゴムに関わらず、様々な組立・加工に対応できます。部品製造、組立加工、部品調達により、更なる価格メリットを提供できます。
○物流支援
当社では、製造・完成した製品や部品の保管、在庫管理、出荷代行管理など、一括物流支援も積極的に提案し、行っています。
○ゴム複合素材の開発
当社では、難接合性である炭素繊維とゴムを組み合わせた、高耐衝撃性複合素材開発を行っております。シート形状の他、様々な形状の研究開発を行っております。
○その他特殊機能性ゴム
超耐寒性ゴム材料(-65℃)、電気伝導性等、お客様が求める様々な材料開発を行っております。
県内の企業宛ての知的財産活用状況アンケートの回答の中で、同社から「自社への訪問」の希望があったことから、窓口担当者が同社を訪問しました。その際に面談した開発担当者から知財に係る種々の質問事項に対応したことが、その後の当窓口ご活用のきっかけとなりました。
開発担当者から、一般論として開発技術を特許出願すべきか、ノウハウとして秘匿すべきかの判断はどのように行うのかの相談を受け、ご説明するとともに、後日、当窓口の弁理士相談会をご利用いただくよう勧めました。
弁理士相談会の中で、新素材に係る開発技術について詳しく伺い、同弁理士より特許出願かノウハウ秘匿かについてご説明のうえ、中小企業情報分析活用支援事業を活用して先行技術調査を実施し、その結果を踏まえてオープン・クローズ戦略を検討すべき旨、助言がありました。
同社はこの事業に申請ののち採択され、当該事業における先行技術調査結果により新規性・進歩性等を確認したことから、特許出願の準備を進めることとなりました。
また、製品売り込みのタイミングとリスクについてのご相談には、特許出願完了後、望ましくは出願公開後とすることを助言しました。
知財戦略の策定、製品売込みのタイミング・リスクの検討や、中小企業情報分析活用支援事業における三者面談(同社・分析会社・事務局)の機会を通じ、特許出願すべき発明とノウハウとして秘匿すべき発明を判別する経験が得られたことにより、知財活動に対する積極性が増しました。同社は平成29年度補正「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」にも採択され、試作品の改善・生産性向上に向けた開発を加速しています。
さらには、製品売り込みに係る助言を通じ、ターゲット顧客がより明確になったことで、売上に対する意識がさらに高まったことと思います。
当社は、商品ではなく『素材』の開発を選択しました。素材を選択するに当たっては、社内で随分もめましたが、最終的には会社の性格、技術、人財等を総合的に考え、当社としてより難易度の高い素材開発を選択したものです。中小企業ですから、特に金銭面を考えると一歩踏み出すのは怖い!が、しかし動かなければ何も起きないことも事実です。成功も失敗もできません。道は必ずあります。
当社の開発の船出に、多大なるサポートをいただきました窓口の皆様に感謝申し上げます。
同社を初めて訪問した時に開発担当者から受けた知財に係る質問攻めが、その後の同社の積極的な知財活動を暗示していたように思われます。開発技術をノウハウ秘匿するか、特許出願するかを、綿密な先行技術の調査結果を踏まえて、開発担当者が経営幹部と一緒に具体的に考えることが、いかに大切かを示す好例と思います。
(関根 康男)
開発素材に係る知財戦略、特許出願等を支援(266.5 KB)
掲載年月日:2019年1月23日