窓口支援事例
米沢絨毯有限会社
特許商標デザイン

新たな革製品磨きの提案

企業情報

所在地
山形県米沢市
ホームページ URL
https://www.yonezawadantsu.jp/
設立年
1984 年
業 種
製造業
従業員数
6 人
資本金
1000 万円

企業概要

 1966 年創業の当社前身の滝沢絨毯は、製造した緞通(高密度の手機織り絨毯)を首相官邸等へ納入しておりましたが、石油危機時に連鎖倒産しました。しかし、1984年に緞通製造技術を基にした高級絨毯の補修やクリーニング等を行うメンテナンス事業と緞通製造事業を立ち上げ、メンテナンス技術を評価した大手クリーニング業者との契約を機に1990 年に法人化して当社を設立しました。設立時はメンテナンス事業の拡大により緞通部門を休止していましたが、2015 年から緞通の再事業化、事業承継と技術伝承を進めていくこととし、商標権(登録番号第5824458 号「米沢緞通」)を取得して、小ロットながら製造を再開しました。

自社の強み

 緞通製造技術を活かしたメンテナンス事業では、穴が開いた絨毯の補修をはじめ、緞通製造で不可欠である絨毯用毛糸や絹の色合わせ、洗浄等を含めた技術により風合いが戻るとの高い評価を受けており、ペルシャ絨毯などでは補修費用が数百万円またはそれ以上であってもお任せいただく程の信用も頂戴しています。
 また、緞通製造技術で特許2件を取得し、手機織りで品質の安定した製造を行っております。当社では玄関マットサイズ以下の小さなサイズの緞通を製造し、椅子のクッションや壁掛けなどの商品のほか、県内在住の若手デザイナーやイラストレーターとコラボした商品も発信しています。加えて、補修やクリーニングが必要になった場合は、自社で全て対応可能です。

一押し商品

 当社では、県内在住の若手デザイナーとコラボして「革磨き」を開発いたしました(特許出願中)。これは高級靴やバッグ、革ジャンなどに適したブラシであり、緞通製造技術を応用して製造されています。これを用いると皮革の光沢が上品に仕上がります。
 緞通と同じ素材と技術を利用しているため、デザイン的にもカラフルな色合わせが可能(写真中段)で、ロゴやイラスト等を織り込む事も可能です。
 機能的にも、片側を靴墨やクリームを塗る用途に使用しつつ、他方を磨き上げの用途に使用できるため、使い勝手の良いものとなっています。また、緞通独特の紡毛糸を撚糸することで、皮革面に大きな負荷がかからない工夫がなされています。

知財総合支援窓口活用の概要(記:窓口担当者)

窓口活用のきっかけ

 2015 年に趣味的に数点の緞通を製造し販売した際に、使用した「山形産緞通」の表記による産地偽装や他者の商標権侵害を疑う連絡が販売店に入り、これらについて同社専務が当窓口に相談に来られました。専門家(弁理士)から産地偽装や権利侵害となる可能性が低い旨のアドバイスを行い、結果として問題とはならなかったのですが、今後のために商標権の取得を薦め、商標「米沢緞通」の商標登録を受けました。

最初の相談概要

 同社専務から緞通製造技術の承継に関する相談を受け、技術承継、さらに商品開発に向けた支援をブランドに精通した専門家と行いました。その際の雑談に創業者から専務に伝えられ自分も実感しているという「緞通の端切れで革を磨くと上品な光が出る」との話題があり、それを専門家が覚えていて、「若手デザイナーとのコラボ商品として、靴ブラシの商品化も行っては?」とアドバイスを行いました。

その後の相談概要

 その後も靴ブラシのアイディア熟成の支援を続け、競合商品や先行技術などの調査から「革磨き」として権利化可能性を見出し、専門家(弁理士)による支援の後に特許出願を行いました。更に出願後に革磨きを展示会に出展したことで、セレクトショップバイヤー数社や高級靴メーカーからの引き合いがあり、納品を開始する事がでました。また、銀行も協力的で、販売見込み先へサンプルを持参・紹介して頂けています。

窓口を活用して変わったところ

 当初は産地偽装問題の相談でしたが、商標登録出願、デザイナーとのコラボ、特許出願と知的財産を使っての新商品開発・販路拡大と成長していき、趣味的に製造していた緞通が会社のもう一つの柱になろうとしています。
 また、祖業である緞通製造を跡継ぎも行うことができるようになり、他人の作った商品のメンテナンス・クリーニングなどとは違う、自分で商品を作る喜びを感じているとの事です。


企業からのメッセージ

 ブランド専門家に何気なく話した雑談の中から、新たな商品開発・特許出願まで行き着きました。その間、窓口担当者や専門家の方に多くのアドバイスを頂戴しました。展示会出展前に権利化手続きが必要などのアドバイスがなければそのまま出展し権利化できなかった可能性もありました。窓口に相談することで考えをまとめることができます。迷ったら、先ずは相談してみることです。

窓口担当者から一言

 社長の作る緞通に魅せられ支援を開始しましたが、商品と一緒で仕事に真摯に取り組んでおられ、この技術を承継していかないと、勿体ないと思いました。跡継ぎが出来た事で、滝沢絨毯~米沢絨毯へと、魅力的な商品がどんどん出てくる事を期待しま
す。 (川﨑 裕)

新たな革製品磨きの提案(506.8 KB)

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掲載年月日:2019年5月20日

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