窓口支援事例
TOKiエンジニアリング株式会社
特許契約・法務その他

液体水素にも適用できるステンレス製継手

企業情報

所在地
福岡県福岡市
ホームページ URL
https://toki-eng.com/
設立年
1976 年
業 種
製造業
従業員数
5 人
資本金
4385 万円

企業概要

 配管の継手部分にはゴム系のパッキンが多く使用されてきましたが、ゴム系のパッキンでは、高温、高圧、腐食系流体の配管系には適用できません。また地震大国の日本では、振動による配管系のトラブルも深刻な問題です。
 当社は、国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同開発により、ステンレス材料の弾性変形を利用して従来の課題を解決する「ステンレス製パッキン」を開発しました。その結果、飲食用品や医薬品の製造プラントで高い評価をいただいています。この配管系におけるシール技術をさらに発展させ、今や水素用の超高圧メタルリング(商品名「ハイドロブロッカー」商標登録第5365321 号)を提供できるまでの技術革新が出来ました。

自社の強み

☆ステンレス製のパッキンで安全・安心をお届けします。ステンレスパッキンは、ゴム・テフロン・シリコンではなく「メタルリング」の継手です。急激な劣化が無く、異物混入がない、高温・低温、振動に強いパッキンです。

☆JIS 規格の外形寸法なので、既存の設備に今日からお使いになれます。

一押し商品

超高圧水素用メタルリング“ハイドロブロッカー”
「ハイドロブロッカー」は燃料電池や液体水素燃料ロケットなど水素エネルギー社会を支える基本部材となる製品です。
水素ガスによる性能試験
耐圧試験:自動車メーカー要請87.5MPa でガス漏れなし
サイクル試験:2万回を達成
温度試験:85℃ 試験 0.6~87.5MPa でガス漏れなし
     -40℃ 試験 0.6~70.0MPa でガス漏れなし

知財総合支援窓口活用の概要(記:窓口担当者)

窓口活用のきっかけ

 同社とは、当窓口以外での関係を含め10 年を超えるお付き合いです。当初はステンレスパッキンやステンレスフェルール製品を飲料・食品・医薬品の製造プラントに展開することを目的として、福岡県開放特許ガイドブックへの掲載をはじめ、いろいろな技術シーズ発表の場を紹介しました。

最初の相談概要

 技術展開に関する支援を継続するなか、同社は水素ガス配管系への適用が可能な“ハイドロブロッカー”を開発されました。この技術が業界の注目を集め、大手ガス会社や液体水素エンジンの研究開発を進めている宇宙航空研究開発機構(JAXA)から共同開発のオファーを受けました。その共同開発契約について当窓口へ相談をいただきました。

その後の相談概要

 当窓口から専門家(弁護士)を派遣し、共同開発契約についての支援を行いました。
 また、開発期間の大幅な短縮が必要となったことから、試作品の設計時間も短縮が必要となりました。そこでCAD システムおよび3D プリンターを導入することになり、CAD/CAM に精通した専門家を派遣して技術指導を行い、試作品製作体制の構築を支援しました。

窓口を活用して変わったところ

 JAXA との共同開発は順調に進めることができ、第一ステージの目標性能を実現できました。そしてJAXA の研究者及び当社社員を発明者とする液体水素燃料の継手に関する特許も出願しました。現在は実用化を目指す第二ステージの目標に向かって開発を進めています。一方、この技術を他分野に展開する動きも始まっています。


企業からのメッセージ

 当社では特許出願は長年東京の弁理士事務所に依頼していました。これまでの出願の全てを把握していただいていることから、技術的な打合せもスムーズであり安心していました。
 しかし、企業の最大の課題は事業拡大です。知財の権利を取得することは手段の一つであってゴールではありません。知財総合支援窓口とのお付き合いの中で、中小企業が抱える課題を同じ目線で考え、必要な支援を可能な限り提供していただけたことは非常にありがたい支援でした。
 当社と同じような立場の中小企業の方々には、知財総合支援窓口の利用を是非お勧めします。

窓口担当者から一言

 同社社長は、自社の事業発展以上に社会が本当に必要とし、50年後も100 年後も受け入れられるものを提供したいと考えられています。
 このような想いの実現に向けて、今後も当窓口はご協力していきたいと考えています。 (金谷 利憲)

液体水素にも適用できるステンレス製継手(339.6 KB)

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掲載年月日:2019年6月 3日

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