当社は、“作り手の顔が見える農業、消費者に支援される農業の展開”の理念の下、昭和62 年に銘柄豚肉づくりに着手し、平成13 年に町内養豚農家有志で生産販売に特化、6 次産業化を推進する組織として再編した会社です。現在、「観音池ポーク」というブランド豚の食肉や加工品を本店と三股店で販売しています。また、このブランド名であり、社名に使っている「観音池」とは、地元都城市高城町にある観音池公園からとったものです。私達は地産地消を推進し、未来を担う子供たちへ農業や食の大切さを知ってもらう場所として、観音池公園を中心とした体験型施設(食と農のテーマパーク)を設けるという大きな夢にチャレンジしています。
当社は、豚肉の美味しさの決め手となる餌にこだわり、天然由来のネッカリッチ(木酢酸)とパン粉主体のエコフィード(リサイクル飼料)を配合した飼料により、脂肪交雑に富んだ、甘みのある柔らかい肉質を実現しました。その結果、宮崎ブランドポークの認定も受けています。さらに、平成29 年からは、家畜用発酵粗飼料(笹サイレージ)を餌に用いることでオンリーワンの肉質向上を目指し、平成29 年度と平成30 年度の宮崎県肉畜共進会の肉豚枝肉の部でグランドチャンピオン2連覇を達成しました。現在、登録商標5件、特許1件を有しています。
「観音池ポーク」は、しゃぶしゃぶ用、とんかつ用、焼肉用といった精肉類や、生ハムやウィンナー、肉だんごなどの加工品として販売しています。特に、メンチカツ・コロッケ等は大変好評をいただいております。また、野菜と一緒に炒めるだけで簡単に調理できる「タレとん」(みそ味、焼肉のタレ味、生姜味、キムチ味)も人気商品となっています。さらに、新たな分野として取り組んだ肉質のやわらかい高齢者用の「なめらかつるるんメンチカツ」も発売を開始しました。オンラインショップの他、ホームページでは、観音池ポークを食べられるお店も紹介しています。
同社については、商標登録第5716740 号『観音池ポーク+豚図』を保有されていましたが、近年、人気も高まり「観音池」のみを付した商品が散見されるとのことでした。そこで、第三者の「観音池ポーク」の使用に対する対抗手段として、ブランド名として使用されている『観音池ポーク』を商標登録出願したいとの相談を受けました。
『観音池ポーク』は公園の名称と豚肉の英語表現「ポーク」とからなる商標であり、出願しても拒絶される可能性があったことから、専門家(弁理士)を活用して商標登録とその後の活用とを踏まえた『観音池ポークの文字を含むロゴマーク』の2 件の出願を提案し、出願手続を支援いたしました。その結果、商標登録第5983471号ならびに商標登録第5996181号として登録を受けることができました。
その後、ブランド戦略についての相談を受け、九州経済産業局「平成29 年度九州における地域ブランド構築支援・普及事業」への申請を支援しました。当該事業の採択を受けたブランディングに精通した専門家や弁理士を活用して商標等を活用した地域ブランド化の構築について支援しました。その結果、商品名『タレとん』を商標登録出願し、商標登録第6087952号として登録を受けることができました。
「九州における地域ブランド構築支援・普及事業」やその後の当窓口によるブランディングとデザインの整合性についての専門家支援により、ブランド構築における知的財産権やデザインの重要性とその活用方法について理解を深めて頂いたと思います。上述の相談後も2019年4月の新たなコーポレートロゴの公表等、地域から全国へ挑戦するために“進化した観音池ポーク”としてのブランドイメージの再構築に向けた取り組みを継続しながら事業展開を行っています。
当社は、日欧EPAやTPPによる豚肉輸入関税の大幅削減が現実となる中、差別化によるブランドの再構築の必要性を感じていました。窓口を利用して、デザインによる商品力の強化や商標権による差別化などブランド構築に必要な助言や専門的な知見を習得することができました。知財総合支援窓口は、中小企業にとって大変役立つ事業だと思います。
同社は、都城市のふるさと納税特設サイトでも紹介されるなど、行政や支援機関と連携して地域貢献に取り組んでいる企業です。今後も“進化した観音池ポーク”としてご発展されると思います。ブランド化に向けて継続して支援させて頂きます。 (轟木 博)
商標権を活用したブランド構築支援(432.2 KB)
掲載年月日:2019年6月10日