当社は、代々、百数十年に渡り受け継がれてきた農地で収穫した農作物をお客様に食していただけることを歓びとし、米を核としたさまざまな商品、サービスの開発にも積極的に挑戦しております。
1904(明治37)年 福島県本宮市にて初代後藤長五郎が農業を開始
2008 年 ごとうファーム(当社農場)産コシヒカリが皇室献上米となる
2009 年 御稲プライマル株式会社を設立
約25.5ha の農地で生産した農産物の販売・加工を行う
2018 年 JGAP(農林水産省が推奨する農業生産工程管理手法)を取得
福島県知事より経営革新計画が承認される
当社では米の生産、加工、販売まで一貫して行っており、お客様からのニーズに対してきめ細かくご提案ができることが強みです。銘柄米はもちろん、料理別のブレンド米や発酵調味料などを生産、販売しております。
「お料理専用米」(おにぎり、炊き込みご飯、カレーライス、チャーハン)
・玄米成分をスコア化し、炊飯後の食味をグラフ化しています
・炊飯後の経時変化についても食味を5 段階で評価しています
「三五八(サゴハチ)」(自宅で簡単につくれる糀ピクルスの素)
・福島県をはじめ、東北地方に古くから伝わる発酵調味料です
・水を加えて食材を漬けるだけで浅漬けを作ることができます
新しい米ビジネスを推進する主力商品を目指して「カスタム米」を開発しました。米質評価を産地・銘柄・人間の感覚等で決めるのではなく、美味しさの基準や機能性の高さを分析して総合的な米質評価を行います。飲食業界のニーズにあったブレンド米や機能性米を提供できるようになりました。
「カスタム米」(商標登録第6005778 号)
・お好みのブレンド米を食味スコアの注文シートで注文頂けます
・ご要望のブレンド米をいつでも同じ品質と味で提供いたします
「ブレンド米調合支援システム」(特許第6364137 号、平成29 年度福島県特許出願経費等助成事業採択)
東日本大震災後、業務用米の販売に力を入れてきた同社では新たに飲食店のニーズにきめ細かく対応するブレンド米の調合システムの開発に着手しました。新規顧客を開拓して取引先を増やしていく事業計画をお持ちであり知財総合支援窓口にご相談がありました。
経営に詳しい専門家(企業OB)と同社を訪問して経営状況や競合関係のお話などを伺った際、他社から似たようなシステムを提供されてしまうと差別化を維持できなくなることを心配されていました。専門家(企業OB)からは差別化を維持する仕組みとして特許権や商標権の取得の提案があり、窓口から特許権や商標権の活用事例について説明を行いました。
他社が特許出願した事例を題材とした社内講習会を開催し、システム開発と知的財産の保護を連動させることを提案しました。その後、同社ではシステム開発と知的財産の即戦力人材を整えたことから、窓口からシステムに詳しい専門家(弁理士)を派遣して知的財産の掘り起しや技術的差別化に向けた支援を複数回行いました。
当社の販売戦略はこれまで営業一辺倒でしたが、窓口相談後は知的財産を意識して取り組む必要性を強く感じました。そこで、システム開発を一時中断して他社が特許出願した先行技術を学ぶ地道な取り組みをしばらく行い、差別化できる目途が立ってからシステム開発を再開しました。また、オープン&クローズド戦略を立て、知的財産のうち玄米成分と食味との関係などのノウハウとなる情報は出願や公表をしないことにしました。
特許権や商標権を活用した経営革新計画が承認され大変励みになっています。また「カスタム米」のネーミングは市場受けが良いだけでなく、JGAP と特許のおかげで品質保証の効果を実感するようになり営業しやすくなりました。
システム開発と知的財産の保護の双方に対応できる体制を整備するなど、市場参入後の競争力を維持する仕組みを構築したいという同社の意欲が強く感じられました。差別化が難しいと言われている業務用ブレンド米ですが、「カスタム米」は徐々に浸透しているとのことです。 (鈴木 優)
知的財産を核とした経営革新計画(404.4 KB)
掲載年月日:2019年6月 6日