当社は、2つの事業を柱としています。一つ目はコンクリート二次製品の製造販売の事業であり、品目は主に道路の側溝などの道路用製品や下水道のマンホール、河川のブロック、宅地の擁壁などです。 二つ目は建設コンサルタント事業として、測量、地質調査、設計、コンクリート構造物の老朽化診断などの建設プロジェクトにおける一連のサービスの事業です。この2つの事業を展開している創業60年の会社です。
当社のコンクリート製品は確かな技術によって高い信頼性を誇っています。昭和30 年の創業以降、第20 回栃木県発明展において栃木県知事賞を受賞、また、栃木県知事より省力化研究事業所に指定されたように、各種の認定を受けながら実績を積み重ねてまいりました。また、実用新案登録や意匠登録も着実に行っております。
コンサルタント事業部では、公共施設の管理業務をGIS(地理情報システム)でトータルにサポートします。下水道台帳管理システム(GEOPASTEM:商標登録第5353471 号)をはじめとし、下水道受益者負担金システムや公園情報管理システムなど、お客様のニーズに応えたシステムを開発・納入します。
「脱着式縁石ブロック並びにコンクリート側溝」(実用新案登録第3186328 号、意匠登録4件)は、従来の固定概念を打破し、機能性を追求した取り外しできる『歩車道境界ブロック』であり、区画整理工事や宅地造成工事等の完成後であっても、容易に乗入れ口が設置できるものです。また、縁石をボルトで固定するため、縁石間の目地詰めが不要であることや、水抜き部をスリムに改良したことで、排水がスムーズになりました。(第57回栃木県発明展覧会 関東経済産業局奨励賞受賞)
同社は、従来より道路用・水環境用等コンクリート製品の開発・製造・販売・施工の事業を行っております。併せて、近年は都市環境インフラ等の調査・計画・設計コンサルティング事業も行っております。この背景の下、特に、道路用コンクリート製品のバリアフリー化などの改良開発をすすめており、さらなる施工体制の強化と共に、他社に対する知財障壁の構築を図ることが必要となり、当窓口に来訪されました。
同社からの相談は、バリアフリー化道路用コンクリート製品に係わる、以下2点でした。
① 他社の先行技術調査及び当該先行技術に基づく自社技術の独自性の見極めについて。
② 自社ビジネス展開において有効に活用できる知財(特許・実用新案、意匠、等)の取得方法、実用新案/意匠の出願及び意匠の権利化について。
①についてはJ-PlatPat を用いた先行技術調査方法を説明し、②については業界事情や費用対効果を考慮しながら助言を行いました。
上記の支援に加えて専門家(弁理士や弁護士)と協働して、以下の支援を行いました。
① 排水機能強化道路用コンクリート製品の実用新案/意匠の事業展開に適した出願方法及び意匠の権利化についての助言。
② 水環境用コンクリート製品を普及拡大するため、工業会参加企業へのライセンス供与について、使用実施許諾契約に係る助言。
③ 自社CI(コーポレートアイデンティティ)ブランドの構築に向けたハウスマーク商標の取得及び活用についての助言。
当窓口に相談することで、使用しているハウスマークの商標権を取得(商標登録第5954693号)し、全社での統一されたブランドへの意識を醸成できました。また、水環境用コンクリート製品に関して、ネーミングの商標取得並びに営業秘密管理をすすめた上で、当該工業会内でのライセンス供与も実施し、当該製品の設置促進によりバリアフリー化の普及拡大を図れるようになりました。
今回相談させていただいた内容は、知財の取得に関することでした。実際の窓口担当者からの対応は、特許・実用新案/意匠/商標の調査方法、事前に検討すべき項目に対する助言、実用新案/意匠/商標の出願手続から権利化に至るまでのこと等を指導いただきました。このように、窓口を利用することで、適宜、適確なアドバイスを頂きました。
自社CI ブランドの構築に向けた商標の取得並びに道路用等コンクリート製品に係わる実用新案/意匠の取得が実現し、他社に対する知財障壁の構築については達成しつつあります。今後は、現行事業の拡大を図る中で、ニーズに適合した製品/サービスを提供するために特許情報などの利用についての支援をすすめていきます。 (斎藤 秀夫)
道路用等コンクリート製品の施工販売に関わる知財ミックスの構築及び活用について(435.9 KB)
掲載年月日:2019年6月26日