当社は、昭和29 年に鋳物製造業を開始、後に溶融亜鉛めっきに業種転換し創業65 年を迎えます。
造船、建築分野の成長に伴い徐々に工場、設備も拡大新鋭化しており、溶融亜鉛めっき月産3,000tを可能としております。平成6年には粉体塗装事業もスタートし、防錆と美観を兼ね備えた表面処理業として、地域社会に貢献することを企業理念としております。
近年は、表面処理技術を生かしたものづくりにも取り組み、お客様のニーズや困り事をお手伝いする商品開発もすすめております。
当社の強みは、社訓に掲げる「信頼」を全社員で考え実践し、お客様の立場で行動する事を最優先する、という社風にあります。価格、品質、納期は勿論のこと、お客様の満足度が向上するよう細部に配慮しながら生産活動を展開しております。限りある鉄資源を大切にしたいという思いで100 年防錆技術も開発し、公共事業等に採用されております。
現在1 級めっき技能士32 名、1 級塗装技能士4 名を有し、表面処理企業のリーディングカンパニーを目指しております。
当社のオリジナル商品には、①ゴミステーション②AT反転機(実用新案登録第3212059 号) ③ ローラーコンベア浮上式作業台( 特許第6272532 号)がありますが、中でも一押し商品は「AT 反転機付吊り具」です。
この反転機は、当社の生産工程で発生する大型鋼材の反転作業を容易にするため開発したものでしたが、木材・石材等の他業種においても様々なシーンでご利用頂けます。反転作業にお困りの会社様がおられましたら、お気軽にお声かけください。用途に応じた反転機をお作り致します。
同社は自社工場内で頻繁に発生する大型鋼材の移動を、クレーンを使わず簡単に行うことができるよう浮上式ローラーコンベア作業台を製作し使用していたところ、関係者に好評で同様の作業が発生する他社工場への販売を検討することになり、長崎県工業技術センターの紹介で権利化の可能性を相談するために当窓口に来訪されました。
初めて権利化を検討されるとのことで、知的財産制度の概要を説明し、J-PlatPat での先行技術調査方法を紹介しました。専門家(弁理士)との相談を経て、先行技術調査の結果から一旦は出願を見送られましたが、その後改良を重ねられた結果、当初の作業台の改良型と、鋼材を吊り上げて省力で反転させることのできる反転機付吊具を新たに開発され、其々について特許権と実用新案権を取得されました。
権利化された装置の販路開拓のため、長崎県産業振興財団のファンド助成事業『見本市出展支援事業』を紹介、採択を受けて国内展示会で当該装置・機具のPR を実施されたところ、商社をはじめ複数の取引先との商談が成立し、当初想定していなかった用途への販売にもつながっています。
今回権利を取得された商品開発がきっかけとなり、これまでの溶融亜鉛めっき専門メーカーとして培ってこられた鋼材に関する知識・技術をベースに、新たな商品開発を積極的に進められています。開発から製品化する過程では、自社で先行技術調査を実施されたのち、窓口に相談いただき、他者の権利侵害回避とともに権利化の可能性を検討されるという、知的財産を意識した取組も定着しつつあります。
知財総合支援窓口を初めて訪ねてから2年ほど経ちますが、特許や実用新案について詳しく説明頂き権利化の重要性や注意すべき点などよく理解できました。また弁理士を無償で派遣頂いて権利化の可能性等を含め専門家の立場からアドバイス頂き、取得に至るまで非常にスムーズでした。併せて連携機関のネットワークも有効活用させて頂き、販路拡大に大変役立ちました。
当初は自社内での作業効率アップのための装置として開発されたものが、市場で受け入れられ、売上につながっていく、というものづくりの原点のような取組みのなかで、知財面から支援ができたことは私自身にとっても喜びでした。今後の事業展開においても知財を有効に活用いただけるよう、引き続きサポートしていきたいと考えております。 (横川 由紀)
はじめての知財を活用した販路拡大(418.5 KB)
掲載年月日:2019年6月27日