室町時代からの歴史がある岐阜県関市の刀鍛冶、25 代藤原兼房の元で修業し、2004 年岐阜県関市にて創業しました。
その後、岐阜県羽島市に鍛錬場を移転し、「和鍛冶技法に特化した商品の開発」「世界最高峰の鍛冶技法の技術協力」「後継者育成活動」「国際社会への日本刀文化の普及活動」「地域社会への貢献」を信念に、先人から学び、受け継がれた業と思いを現代の暮らしに役立てたいと匠の技を磨いています。
刀鍛冶の認定を受けた刀匠房太郎が鍛冶技術により制作した刃物類やカトラリーは、独特の風合いを醸し出す逸品で、国内のみならず、日本に旅行に来られた海外の方にも人気の品です。
鍛冶技法は、日本の伝統技術と言えど、日常生活においては馴染みが少ない技法でもあり、当社では販売のみならず鍛冶作業の見学、体験プログラムへの参加を通じて、一つ一つの鍛冶作業に込められた意味や謂れに触れていただくことができます。また、海外の方々には英語での説明を可能にしたことにより、大変好評を得ております。プログラムへの参加により、伝統の技には、日々の生活に通じるものがあることを、再認識して頂けます。
刀匠の技で作った包丁など刃物は然ることながら、刀匠自らが指導する鍛冶作業体験も、国内外問わず、子供からお年寄りまで幅広く参加でき、日本の伝統技術に触れ、世界に一つの作品を創ることができるため人気があります。
そんな中、刀匠自らが、「30 年前、この道具があれば、その頃の自分に教えてあげたい!」と思うほどの商品が、金属を鍛える時に欠かせない金床「ダイスアンビル」です。鍛冶やナイフ作り、彫金や貴金属加工を始めようとしているのなら、6 面すべてが目的に合わせて使えるので、最小限のスペースと道具で作業をしたいという願いが叶う道具です。
同社は、商標権を活用した商品のブランド化を考え、独自に商標出願を行ったところ、拒絶理由通知を受けられました。その対応をどうしてよいかわからず、相談したのが知財総合支援窓口でした。
商品名を考えて、商標出願を独自で行ったが、拒絶理由通知を受け、その対応策についてどうしてよいかわからず、窓口に来られました。拒絶理由を解消するには困難であったため、新たな出願をして関連した商標の権利化など今後の対応策について検討いただくこととなりました。
新たな商標出願を行い、無事に商標登録(商標第6085915 号)となり、知財に対する認識が深まったことから、新たに開発した鍛冶作業で使用する道具について特許や意匠の出願について相談を受けました。専門家を交え検討を行い、今回は意匠出願を行うこととなりました。また、他の商品についても特許性のあるものがあることから、引き続き支援を行っております。一押し商品である「ダイスアンビル」は、貴金属加工を行うプロやアマチュア、学生と、従来の顧客層とは異なる層へのアプローチが必要であり、販路開拓が課題でした。そこで、知財総合支援窓口を通じて、岐阜県よろず支援拠点のコーディネータによる販路開拓や販売促進のための支援を受けられています。
知財総合支援窓口の支援を受け、制度の理解や、手続きの習得はもちろんのこと、商品開発に連動した知的財産活動へと、取り組みが広がりました。刀鍛冶として伝統の技を守り、伝えていくと共に、他者との差別化に知的財産を活用した攻めの姿勢も感じられ、知的財産に対する意識が変わってきました。
今回の登録に至るまで、知的財産の制度や仕組みについて教えていただいたのはもちろん、商品について多角的に理解しようとしてくださったおかげで、自分たちにとっても商品への理解や価値観が上がりました。そして登録しようとしている権利だけでなく、今後必要になるであろう権利についてもアドバイスをいただき、とても参考になりました。
もっと活用される企業さんが増えることを願っております。
従来の金床は重く、持運びが容易でないものが主流で、職人が作業場で使う道具と言うイメージでした。ダイスアンビルは、そのイメージを覆すもので、作業者が作業を行いたい環境に持運んで、作業することも可能にしました。今後も事業に活用できる知財活動がより発展していくよう、支援できればと考えています。 (渡辺 奈津子)
刀鍛冶の挑戦に知的財産を活用(330.4 KB)
掲載年月日:2019年7月 2日