当社は、高品質光拡散天窓および照明器具とのミックス照明システムの開発、当該技術に関する特許ライセンス契約と、ひかり屋根のコンサルティング事業を行っています。
建築(屋根天窓)と設備(照明器具)の境界線には大きな溝があり、この溝を埋める技術を開発することにより、「屋根で省エネ・CO2 削減・やさしい灯」に貢献できます。
大田区創業支援施設BIC あさひへの入居が認められ、国の創業補助金の支援を受けて、2015 年に創業しました。
技術と製品を特許権で保護することを第一に考え、「拡散光という自然光利用」に特化した8件の特許と5件の商標を出願し、現在3件の特許の事業化が具体化しております。
このうち「ひかり屋根W470(特許第6354096 号)」は、ガラスが割れても漏水しない安心安全な光拡散天窓構造で、第28回大田区中小企業新製品・新技術コンクールで「おおたECO 推進賞」を受賞し、採用実績も7件あります。空調のない物流倉庫・工場であれば屋根面積の5%程度の設置で、屋根直下の照明費70%以上の節電が期待できます。
「ひかり屋根つなぐ(特許第6503597 号)」は、光拡散天窓によって得られる場内必要照度を、太陽光パネルの出力を基に予測し、照明器具の調光を光センサーレスで行うもので、このシステムが採用されることにより、屋根で「省エネ」と「創エネ」を同時に確実に行うことができ、高さに関係なく調光することができます。
また、ライセンス契約先が決まり、全国展開が可能となりました。
ユーザーから電力事情の良くない海外にも必要との要望があり、国際出願(PCT)も行いました。
国際出願(PCT)は13か国に出願し、米国、中国、韓国、アルジェリア及びオーストラリアで特許権を取得することができました。
タイ、ベトナム及びインドネシアについては、日本国企業に特許権を譲渡できました。
他の国(インド、マレーシア、フィリピン、カナダ、ブラジル)も順次特許取得の予定です。
同社社長は、省エネ効果が大きく、人に優しいひかり屋根のアイデアを特許等の知的財産権で保護しておかないと、すぐに真似されてしまうと考え、知的財産についての相談先を探していたところ、知財総合支援窓口にて各種相談および支援が受けられることをWEB サイトから知ったことをきっかけに来訪されました。
アイデアを説明され、特許としての登録の可能性はあるか、請求項のまとめ方、弁理士に依頼した場合どうなるかとの相談に対し、請求項の考え方を説明するとともに、明細書の作成方法について説明しました。弁理士に依頼した場合は、発明の内容を説明すれば、ご自身の代わりに弁理士が請求項および明細書を作成するにあたり、代行する手続費用がかかることを説明しました。
ご自身で出願書類を作成してこられ、何度かの相談を経て、特許出願・商標登録出願をご自身で行ったほか、審査請求の際には減免制度の活用および早期審査請求制度の利用、中間手続き(拒絶理由通知)対応など権利取得までの一連の手続きの支援を行いました。
また、当該特許製品の実施許諾契約を行うに当たり、専門家(弁護士)の活用による契約書の確認等の支援も行いました。
アイデアを知的財産権で保護することの重要性は認識されており、アイデアを権利化することに積極的に取り組まれています。また、ライセンス契約を行うことにより、自社のみではカバーしきれない多くのユーザーにひかり屋根の製品を納入可能としておられるとともに、電力事情のよくない国でもひかり屋根が普及するように、国際出願も行うとともに、国際展開を進めるべく準備を進めています。
また、ひかり屋根以外のアイデアも権利化し、事業拡大を目指しておられます。
特許取得は縁遠いもの、お金もかかり、起業したばかりでは無理と思っておりましたが、窓口担当者からの書類作成の指導、料金軽減や補助制度の紹介など、親切なご指導を頂くうちに何とか明細書、請求項が書けるようになり、出願手続きから特許取得までできて感激しております。「諦めない・私にしかできない」という信念で、これからも「世の中のためになる」発明に挑戦します。
同社社長はアイデアマンで、天窓による省エネに限らず色々なアイデアをお持ちの方です。特許に限らずノウハウ・営業秘密などほかの知的財産について有効活用していただけるよう、引き続き支援を継続していきます。 (石橋 正純)
太陽光を利用した省エネルギーシステムの開発・権利化(1.5 MB)
掲載年月日:2019年7月22日
更新年月日:2021年12月20日