北九州で唯一の西日本電信電話株式会社、株式会社NTTドコモの代理店として、市内で5店舗のドコモショップを運営するとともに、法人向け情報通信端末、ネットワーク端末、通信回線などの企画・提案から施工・保守までのサービスを提供しています。また、飲食事業部では洋菓子店「グランダジュール」でケーキ、焼き菓子などの販売を行っています。さらに、2016年2月からはボルトとナットの形をしたチョコレート「ネジチョコ」の製造・販売を開始しました。
当社は、信頼していただける仕事を常にお客様目線で一つ一つ積み上げて、地域に貢献しながら地域と共に発展して行きたいと考えています。
「ネジチョコ」を新しい事業の柱に育てようと考えており、国内外で特許5件(申請準備中含む)、意匠5件、商標7件を出願して権利化に努めてきました。アイデアの豊富さと、自治体等に積極的にアプローチするバイタリティと、さらに九州圏域の企業とのコラボレーションによる商品開発を積極的に行うチャレンジ精神が当社の強みの一つです。
また、型から取り出しやすいネジ形状と型の素材・形状および工程自動化ロボットを組み合わせて、高い歩留で量産が可能な「ネジチョコ」生産ラインも当社の強みの一つです。
「ネジチョコ」が一押し商品です。2015年の八幡製作所の世界遺産登録に合わせて、北九州商工会議所から「鉄」をイメージできる北九州土産の開発を依頼されたことを契機として商品化しました。「ネジチョコ」はボルトとナットの形状をした実際に締めることのできる一口サイズのチョコレートです。2016年2月の販売開始から3年間で国内の取り扱い店舗は45店舗となり、アニメやキャラクター、映画とのコラボ商品も作ってきました。また、一口サイズの小さなネジ形チョコレートが実際に締まることが海外でも好評を博しています。
すでに支援を受けていた北九州中小企業支援センターから当窓口を紹介され、専門家派遣制度について相談されたのがきっかけです。すでに「ネジチョコ」は販売を始めており、模倣防止とブランド強化のために商標登録を検討されているタイミングでした。ただし、手作業での製造では歩留が悪く量産化ができない、また量産化ができないため引き合いに対応できないという課題がありました。
量産化の課題に対しては、公益財団法人北九州産業学術推進機構(FAIS)のロボット技術支援センターと特許庁が連携して支援することで大幅な歩留改善を実現することができましたので、当窓口ではその内容を権利化するために専門家(弁理士)派遣を行い、特許庁と連携しながらオープンクローズ戦略や出願戦略の検討を支援しました。
その後は量産のために製造を外部委託することを検討していたため、外部委託した場合の契約内容について専門家(弁護士)を派遣して助言を行い、一方自社で工場拡張する場合の用地情報の提供を北九州市に依頼しました。また、ネジチョコに関する出願をした特許が登録になった(特許6403915号)後は、海外からの引き合いもあることから外国出願補助金を紹介しました。加えて、他業種の企業とのコラボ商品を開発するにあたり、今後の意匠や商標の出願戦略について助言を行いました。
主要な特許、意匠および商標を国内で登録でき、またそれを基礎として海外へも出願できたことで、今後安心して事業拡大ができるのではないかと考えます。今回の支援を通じて、事業上の効果を意識した知財戦略の有効性や考え方についてご理解いただけたと思います。
今後の商品開発にも今回の経験を活かしていただけることを期待しています。
事業開始段階から特許の外国出願段階まで知財総合支援窓口、中小企業支援センター、ロボット技術支援センター、特許庁等の様々な支援機関から支援をいただきながら権利化を進めることができ、またネジチョコの売り上げも支援開始当初の約10倍に伸ばすことができました。今後も海外展開を進めるにあたって引き続き支援をお願いしようと考えています。
商品開発と権利化の両輪を同時にうまく回している印象を受けました。今後も国内での事業拡大および海外への事業展開に対して窓口で支援できることをご紹介して、引き続き支援させていただこうと思います。
今後社内の知財活動が一層定着することを期待しています。
(武内 洋介)
「ネジチョコ」の知財権取得と事業展開支援(365.2 KB)
掲載年月日:2019年9月25日