当社は創業以来、土木建設機械の販売、修理と産業用ポンプのベース製作から自動化、組立を行っており、5年ほど前から長年培ったノウハウを生かし道路の維持補修機械の開発、製造を新事業として開始しました。
これからの公共事業にかかるコスト削減が見込まれる中、「使える物をより長く」をコンセプトに今後も自社製品の開発、製造を展開してまいります。
創業以来培ってきた知識と技術で設計、開発、製造と一貫したものづくりが当社の強みです。特注品のご相談や海外仕様、新しい商品の開発など臨機応変に対応します。
自社製品であるアスファルトクラックシール注入機KNT-50は特許権を取得(特許第6171178号)し、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)にも登録(No.CB-160027-A)されました。海外への実績も増えてきており今後も維持補修機械の開発を進めています。
アスファルト舗装面のクラック溝部にシール材を溶解し注入するアスファルトクラックシール注入機KNT-50は小型で低騒音、低振動で、溶けたシール材の吐出量はダイヤルで調整でき、吐出、停止は手元スイッチ操作でオペレーターの任意で行えます。
また、作業後のシール材料の洗浄には軽油を利用したホース洗浄循環方式でペール缶等の空き缶を利用するので、安全で容易に洗浄作業ができます。
更に、自動点火装置付き(Jタイプ)は設定温度で消火、点火を自動で行い、バーナーの立ち消え等では再点火と警報を装備しています。国内はもとより海外からもお問い合わせいただいています。
同社は建設・産業機械の販売、修理など受注生産が主な事業であり、今までは特許等を活用する必要はありませんでした。この度、オリジナルのアスファルトクラックシール注入機を開発する過程で道路関連保安用品を開発している旧知の企業からの紹介がきっかけとなり、当窓口を利用されることになりました。窓口担当者が同社を訪問し、特許・商標の権利取得や戦略的な知的財産の活用をアドバイスして行くことになりました。
同社は長年培った機械加工技術を活用して、既設道路をアスファルト材で補修するアスファルト注入機を既に完成されていましたが、知的財産権取得の必要性や重要性を説明し、既に製品を販売していたため専門家(弁理士)からは新規性喪失の例外適用の説明を受けて特許出願を目指されることになりました。更に、契約に精通した専門家(行政書士)からは国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)について説明を行い、こちらも登録を目指されることになりました。
その後、特許権を取得したこともありNETISにも登録され、国内では高速道路管理会社に2台納入され、その他工事業者への販売実績も増え始め、海外では東南アジアへは8台納入されました。今後、国内および東南アジアの各道路整備局に販売拡大する計画があり、世界に通じる企業の強みを生かしたオープン・クローズ戦略で事業展開の支援を予定しています。更に東南アジア以外の国からも問い合わせが来るなど今後の事業展開に期待が持てます。
受注生産が主な事業であった同社が、オリジナル商品を開発し販売する上で、知的財産権の重要性が社内全体に広まったことと、事業に応じて「知的財産権」+「ノウハウ」+「NETIS登録」を戦略的に活用することにより、商品に非常に大きな付加価値が生まれることを実感して頂きました。また、特許庁施策である審査請求料等軽減制度に関する情報を提供し、より知財に関する運用が活性化しました。今後は、より幅広い海外展開を進めるにあたってのブランド戦略を推進中です。
知財総合支援窓口への相談をきっかけに当社の新事業への取り組みが大きく変わり、支援窓口の担当者の方や、専門家の先生からのアドバイスを受け特許権を取得することができました。知財について無知であった当社社員に対し分かり易く丁寧なご指導を頂き、企業として知財戦略の重要性を学び今後も知財を取り入れた経営を進めて参ります。
これから益々経営環境が厳しくなる世の中で、受注待ち体質からの脱却を目指して新事業へ挑戦し、知的財産を活用することにより、大手企業に対しても優位な知財戦略、経営戦略を駆使して、ビジネスに積極的に結びつけることができます。知財総合支援窓口を企業の身近な相談員として、大いに活用して頂きたいと思います。 (井上 勝)
路面補修注入機のオープン・クローズ戦略(440.4 KB)
掲載年月日:2019年9月26日
更新年月日:2021年11月29日