当社は、プラスチック成形用金型の研削および研磨とバリ取り、エッジ仕上げに使用する「リードグラン砥石」等の仕上げ用特殊砥石の製作メーカーです。リードグラン砥石は、世界に先駆けて当社独自の技術に基づき開発した製品であり、日本、アメリカ、中国の三カ国で特許取得済みです。また、電動グラインダーやアングルグラインダーと組み合わせて使用する軸付き砥石やディスク砥石、スティック砥石などの販売を手掛けています。
砥石に関する企業は多数存在しますが、ポリ尿素を結合材とした砥石開発及び製造販売は、当社のみです。ポリ尿素は、砥石の結合材の他に、パフ材及びパット材へ展開できる素材であり、取り扱うポリ尿素は、当社社長が企業在職中に発明したもので、当社が最も熟知しています。
開発した砥石は、ゴム弾性、耐摩耗性、耐熱性を有し、高い砥粒濃度を有するポリ尿素を結合材とする砥石です。金属、セラミックス、プラスチックスと無機物との複合材等の広い分野に適応し、工業的にも、安全性を必要とする食品、医療、歯科分野にも適用できる砥石として注目されています。
(特許第3921056号、第4357173号、第6489465号)
静岡県の特許流通アドバイザーからの紹介で、他社との共同開発の進め方、開発成果の取り扱い等の契約に関する相談のために、当窓口を利用されたことがきっかけです。
企業連携の注意点、技術ノウハウの流出を防止するために契約の重要性等を助言しました。又、取得している特許権の維持に関して、特許料の減免制度や登録料の自動納付制度について支援しました。
その後、海外企業及び国内企業から計3件の契約の引き合いがあり、海外企業の引き合いではINPIT海外知財財産プロデューサーを派遣し、契約内容、海外企業との交渉や技術契約における注意点等について支援していただき、更に専門家(弁護士)による海外知財契約書作成支援により契約内容の整理、英文ライセンス契約書の草案作成、契約交渉段階で生じた問題点への対応策を検討しました。
一方、国内においては大手企業2社より引き合いがあり、その内の1社と研磨材とその製造に関する契約の話が本格化し専門家(弁護士)を活用しながら、技術内容とノウハウの住み分け、対価、ライセンス条件等同社にとって不利のない契約のために支援を行い、実施許諾権及び技術支援契約を締結することができました。また契約締結後の原料供給メーカー及び取り扱う商社との秘密保持契約、ポリ尿素結合材の名称に係る商標登録出願についても支援しました。
同社は、開発した技術に自信を持っており、特許等の知的財産権は小規模な企業にとって武器になると考えていました。契約書の重要性を認識し、社長自身も勉強され、当窓口を利用することで、最大の目標であった大手企業との契約が締結できました。それにより、収益の一つの柱が構築でき、経営・事業面の強化に繋がりました。
中小企業にとって、知財総合支援窓口の協力は不可欠であり、たとえ弁護士等の専門家に委託した業務においても、助言・協力は非常に大きな力となります。
同社の技術に興味を持たれ、何度か取引の話があったものの進展せずにいたところ、今回の大手企業との契約締結により、事業のステップアップができたことは大変嬉しいです。更なる事業拡大のために支援していきたいと思います。 (宮枝 清美)
ポリ尿素ゴム性砥石の国内外での技術契約(274.8 KB)
掲載年月日:2019年10月 7日