2010年に株式会社ペーパームーン京都を設立しました。後、2016年に京都市成長産業創造センターにて、カフェ「おちゃのばラボ」を一人で開店しました。カフェ経営の傍ら、以前よりお客様から「抹茶を簡単に飲める方法を考えて欲しい。」と言われていたので、抹茶攪拌器具「ちゃかちゃかリング」を研究開発しました。
20年来、飲食業に携わってきたため、提供する側の経験と、お客様目線の意見とを蓄積してきました。そのため、デザイン性及び機能性を備え、細部までこだわった製品を作ることができました。
また、京都市成長産業創造センターに出店したことにより、多くの研究者の方々から貴重な意見をいただくこともできました。その結果、2019年1月に抹茶攪拌器具の特許権を取得することができました。
「ちゃかちゃかリング」は、大きなコイルに小さなコイルが巻き付いたダブルコイル構造を備え、ボトルにリングと抹茶とお湯又は水とを入れてちゃかちゃか振ることにより、簡単に抹茶を点てることができる器具です。このダブルコイル構造により、特許権を取得することができました。従来の点茶作法を知らなくても、従来の点茶道具が無くても簡単に抹茶を点てることができるので、抹茶シェイカーとして世界中に広がって欲しいです。
同社代表は、誰でも手軽に抹茶を点てることができる抹茶攪拌器具を発明され、「これは良いものができた!」との思いから、特許による権利化を希望されていました。ご自身で調査を行ったところ、類似する物は見つからなかったということでしたが、ご自身の調査方法に不安があったため、調査の方法を教えて欲しいとのことで、知財総合支援窓口を訪問されました。
最初のご相談は、J-PlatPatを用いた出願前調査の方法と特許出願の方法について教えて欲しいというものでした。その後、専門家(弁理士)を活用しながら明細書を完成させ、初めての窓口訪問から3か月で特許出願を行いました。その後、減免申請及び早期審査請求を伴う出願審査請求を支援しました。
審査請求から4か月、新規性及び進歩性違反の拒絶理由が通知されました。その際も専門家(弁理士)を活用し、また、担当審査官ともファックスや電話で連絡を取りながら応答案を作成し、無事に特許査定がなされました(特許第6467606号) 。また、特許と並行して商標のご相談もお受けし、支援を行ってきました。登録後は、特許権の活用(販路拡大)についてのご相談を受け、現在も支援中です。
相談者は、特許の明細書作成や拒絶理由通知への応答案の作成など、まったく経験がありませんでしたが、粘り強さとフットワークの軽さとで、出願から1年2か月で特許査定を得ることができました。特許出願中と特許権取得後とでは、周囲の方の商品に対する反応が明らかに異なることを感じ、特許権を取得することの重要性を実感されています。また、手続については、減免申請の方法や手続補正書の作成方法、商標の出願方法などを習得されました。
特許とは何たるかさえ知識の無い状態からの相談でしたが、窓口支援担当者の方が、わたし自身に合うリズムで初歩的なことから細かく丁寧に教えていただきました。専門的で敷居が高いと思っていた知的財産の世界ですが、知財総合支援窓口を訪問したことにより、身近なものになりました。
相談者は、抹茶をより多くの人に楽しんでもらいたいという熱い思いをお持ちで、支援のたびにその思いを感じていました。最近では、抹茶は認知症に効果があるとも言われています。今後、より多くの方が同社製品で抹茶を手軽に楽しめるようになるとうれしいです。 (小林 恵)
抹茶撹拌器具の特許出願及び商標出願の支援(342.1 KB)
掲載年月日:2019年11月22日