「葉っぱビジネス」とは"つまもの"、つまり日本料理を美しく彩る季節の葉や花、山菜などを、栽培・出荷・販売する農業ビジネスのことです。当時農協職員だった横石知二(現・株式会社いろどり代表取締役社長)が、「彩(いろどり)」と名づけて1986年にスタートしました。現在つまものの種類は300以上あり、一年を通して様々な葉っぱを出荷しています。
さらに、上勝町の移住・交流人口の増加、町のファンづくりを目的としたインターンシップ事業に取り組んでおり、2018年からは農業体験に特化し、彩農業の後継者を育成するため研修圃場の整備や農業体験を始めています。
葉っぱビジネスのポイントは、商品が軽量で綺麗であり、女性や高齢者でも取り組めることです。現在の年商は2億6000万円。中には、年間売上が1000万円を超えるおばあちゃんもいます。それを支えるのはパソコンやタブレット端末で見る「上勝情報ネットワーク」からの情報です。決まった数量を毎日出荷するのではありません。おばあちゃん達はパソコンやタブレット端末を駆使し、「上勝情報ネットワーク」から入る全国の市場情報を分析して自らマーケティングを行い、栽培した葉っぱを全国に出荷するのです。「上勝情報ネットワーク」では自分が何番目の売上を上げているかの順位が分かるようになっているなど、農家さんのやる気を出させる“ツボ”をついた情報を提供しています。当社はその「上勝情報ネットワーク」を通じた農家への情報発信を行っています。
手入れの行き届かない杉の山を今後どうするべきかという課題を解決するため、上勝町では彩山プロジェクトが始動し、2018年7月には壮大な実験場としての彩山がオープンしました。当社では、彩山を活用し、「観光」・「視察・研修」・「栽培・研究・人材育成」をテーマに、固定概念にとらわれない人材づくりを進めるとともに、地域として持続可能な町づくりを目指しています。
数年前に「葉っぱビジネス」の受発注に使用するシステムの著作権や運用に関するご相談を受けたことが知財総合支援窓口をご利用いただくきっかけとなりました。その後、当該システムの後継システムに関する相談、いろどりのビジネスモデルに関して弁理士や弁護士などの専門家を活用した支援、取り扱う葉わさびの名称(上勝マイクロ葉わさびR)の商標登録などのご相談など、継続的にご利用いただいております。
今回のご相談案件は、現在同社が上勝町とともに進めている「彩山構想」に使用するロゴマークの商標出願に関するご相談でした。現在実施しているセミナーや体験などのサービスの保護に加えて、同社が今後扱う商品の保護を検討したいとのことで、小売役務での出願も検討されることをアドバイスしました。
以前にも商標出願した経験があることもあって、今回は自社での出願にチャレンジすることになりました。出願実務を担当された水澤氏は、受発注システムの運用や各農家・農協との連絡調整役を担っており、非常に多忙の中、今後考えられる必要な小売役務を細かく洗い出す作業などを淡々とこなされ、出願手続から登録までをそつなくこなされました。
数年前から知財総合支援窓口を継続的にご利用になるようになって、著作権・契約・秘密保持・商標などの知的財産権を活用する機会が増えてきたのではないかと思っています。特に商標については、ビジネスの広がりに応じて出願・登録する流れになってきているように思いますので、今後ますます知財を活用していただけるのではないかと思っております。
徳島県知財総合支援窓口の担当者の方には、いつもお世話になっており、大変感謝しております。新しい事業を始めるときや、困ったことがあると、小さなことでもすぐに連絡をしてしまうのですが、その度、親身になって対応してくださり、毎度的確なアドバイスをくださいます。お蔭様で知財についても理解が深まりました。今後も活用していきたいです。
地方創生のパイオニアとして有名な株式会社いろどりの知財支援に偶然にも関われたことは、窓口支援担当者としての経験の中でも大変嬉しいことでした。今後も微力ながら、株式会社いろどりのビジネスを知財の力を使って応援できればと思っています。 (青木 幸司)
葉っぱを育てる彩山(いろどりやま)構想の商標登録支援(490.5 KB)
掲載年月日:2019年12月 4日