当社は住宅型有料老人ホームの経営や介護用品・福祉用具のレンタル・販売をしており、利用者の想いを超える「安らぎと幸せ」を与えることのできる最高の空間を、また青森で生きる私たちだからこそ提供できる最上級の幸せのかたち、何ものにも代え難い美しい時間が流れる空間を提供することを目指しています。「アピイ」は自社の想いをこめてAomori Peace Environmentの頭文字で表しました。
当社の強みは、介護の現場から生まれる現実的な課題の解決を目的とした商品づくりです。青森県内の65歳以上の人口は今後も増加傾向にあり、介護市場における成長率増加の現状において、当社は業界全体の課題である人材不足の解決に向けて新商品を開発しております。
介護用品はデザイン性よりも機能性が重視されがちですが、当社はデザイン性と機能性を両立させ、介護される側と介護する側の双方のストレスを軽減することを可能とする商品開発を行い、ファッションブランドを目指していけるよう積極的に取り組んでおります。
介護される側が一人で、しかも片手で装着可能な「自立型食事用エプロン」を開発しました。このエプロンを使用することで被介護者に自立心が生まれ、デザインを楽しんでもらえる商品になっているため、楽しみながら生き生きとしたはりのある生活が送れるようになります。そして何よりも介護スタッフの労力やストレスが軽減されるメリットがあります。
同社で「自立型食事用エプロン」を試作して関係者に着用してもらったところ、非常に評判が良かったため、商品化する前に模倣対策として特許出願が重要であるとの認識から、介護事業について日頃から関係のあった青森県と青森市の紹介をきっかけに、当窓口に来訪されました。
「自立型食事用エプロン」を権利で保護することができないか相談がありました。まずは制度の概要を窓口から説明しました。その後、権利化に向けての具体的な助言は専門家(弁理士)から行い、特許登録と合わせて意匠登録の重要性・有効性についても説明を受けました。これにより、商品を複数の知的財産権により保護できることが理解していただきました。また、当窓口から紹介した青森市の「がんばる企業応援助成金」の対象企業に採択され、弁理士費用が助成されました。
国内外での拡販を想定し、特許出願や意匠登録出願だけではなく、商品に当社のロゴマークを使用してPRしていくため、商標登録出願についての支援も専門家(弁理士)と共に行い、出願・登録に至りました。
また、青森県からも継続した支援を受け、安定した事業活動を行っています。
窓口を活用して「自立型食事用エプロン」の特許出願・意匠登録を行い、ロゴマークを商標登録したことで、安心して介護用品販売部門を立ち上げ、エプロン販売ができるようになりました。その結果、収益貢献につながるとともに、経営基盤の強化に取り組むことができました。介護現場の意識改革と環境改善を行いたいという想いで新商品開発を行い、知的財産権で保護したことで商品に対して自信を持ってPRできるようになりました。
当社は、少子高齢化社会に対応した介護ビジネス業界で、老人ホームの経営と介護用品の開発・販売に取り組む会社ですが、業界を問わずどの企業の経営においても知的財産に関わりがあると思います。まず自社の知的財産とその守り方を認識したうえで戦略を練り経営に活かしていけるような取り組みが必要だと思います。
社長には「介護・福祉現場の意識改革と環境改善」という明確な目標があり、現場の声を反映させたオリジナリティとアイデアにあふれた介護用品づくりに積極的に取り組んでおられます。これからも知的財産権を活用して充実した企業活動が行えるよう支援を続けていきます。 (今野 峰子)
介護現場の改善に知財を活用(351.2 KB)
掲載年月日:2019年12月10日